前回に続く・・・
僕がマイケル・チェーホフ を知ったのは約30年ほど前。
ストラスバーグが、実際に彼の舞台を見て絶賛していた。
彼の役への変身ぶりは、驚嘆に値すると言われた。
人々は役によってあまりの変身ぶりに、本人の素顔が分からないと言われた。
マイケル・チェーホフのことを紹介されたのは、当時、ニューヨーク大学の演劇科の教授メル ・ゴードン(僕の訳で彼の本『演技エクサイズ306』が出版されている。)
メル・ゴードンと一緒にニューヨークのマイケル・チェーホフの学校を見に行った。
(マイケル・チェーホフの没後30年)
教師達は人間的に素晴らしい人たちなのに 、その訓練に二人ともなんの感銘も受けなかった。
マイケル・チェーホフは、言っている。
「ディアドル・デュプレイは、私のかつての生徒であり、このメソードを教える資格のある教師である。」
と。
そのディアドルが、僕の資質を見込んで、個人レッスンを申し出てくれた。
彼女は当時80歳を過ぎていたが、郊外に住んでいて、駅まで車を運転して、ニューヨークまで汽車を乗り継いで 来て、3回程無料で教えてくれた。
きっと、彼女は、僕がマイケル・チェーホフのシステムを広げてくれると期待したのだと思う。
今でも、ハッキリと記憶しているが 、彼女が右肘をピアノに置き、波のように動かした。
異次元の軽やかさ。一瞬だったが、これがマイケル.チェーホフだと直感した。
その後、僕は、マイケル・チェーホフの『演技者へ』の翻訳本を出版し、徹底して彼のメソードをひとり、孤独と向き合い何年もかけてマスターした。
ディアドルが示したあの美しい動きを僕はいつでもデモンストレーションする事が出来る。
ZEN