2017年8月3日木曜日

第三章 俳優を目指す若者たちへ

~俳優の具体的訓練リラックスについて~

ゼン・ヒラノ

あらゆる職業の分野(芸術、運動選手、科学者、職人等々)、一流と言われる人々の共通点がある。

それは、集中力のすざましさだ。

深いリラックスから生まれる。

リラックスと集中力は相互関係にあり、リラックスが良ければ集中力が高まり、集中力が高まれば、より深いリラックスを体験する。

インスペレーションが非常に起こりやすい状態になる。

人は、他人の視線を感じると緊張する。

ましてや、俳優の場合、観客はあなたを観に来る。

非常に緊張する場面で、リラックスを要求される。

俳優は、今、自分のやっている事に心を奪われ、自分自身が熱くなる事で、観客を熱くさせること(共感や感動)を引き出す事が出来る。

生まれつき非常にリラックスに恵まれた人がいるが、我々はリラックスを訓練を通して高めて行かなければならない。


では、リラックスとは何か?


ストラスバーグは、リラックスとは何かを知りたかったら、緊張とは何かを考えたらいいと言っている。

「緊張とは余分な力だ。不必要な力だ。」

ただ、立っているのに、足を踏ん張ったり、肩を怒らせたり、眉間に皺を寄せる必要はない。

不必要なものは、不必要だと。

リラックスと注意の集中は、密接に結びついていて、注意の集中が良くなれば、リラックスが深くなり、リラックスがよくなれば、注意の集中がより深くなる。

まず、俳優の訓練の第一歩はリラックスをマスターする事だ。

普通、椅子に座って、体全体の体重を椅子に預けて、自分の体のどの部分が緊張しているか見つけること。

見つけたらその部分を緩めるために、緩まるようにユックリといろいろな方向に動かして、緩んだかどうかチェックする。

大切なことは、リラックスさせようとしている箇所に自分の持つ全注意を集中させること。

リラックスにとことん注意を注げば集中力が高められ、集中力が高まれば、より深いリラックスを体験する事になる。

俳優はそこに存在しないものに反応する事を要求される。

舞台には太陽はなく、星空は無く、故郷の家も恋人も存在しない。

深いリラックスと注意の集中によって想像の世界に生きる事を要求される。


ZEN

ーリラックスへのアポローチは次週に続くー