2018年2月3日土曜日

ザ・アクターズスタジオと恩師リーストラスバーグの思い出


~第7話~

ゼン・ヒラノ


ストラスバーグが個人のクラスを開いていたので、すぐに申し込んだ。

どうゆう訳か、
俳優の基本訓練に異常な興味を感じた。

それが何十年 にも、絶えることなく続いている。

確か、受講希望者が多く、僕は、特別に早く入れてもらったことを覚えている。

クラスでは、センソリーウォーク(五感の訓練)に出たくてウズウズしてが、3.4週間待たされた。

やっと、「ゼン」と名前を呼ばれるやいなや床に転げまわり(普通は椅子にゆったりと座り、リラックスの訓練をする)今まで無意識に溜め込んだ感情を全て解き放した。

5分か10分、時間は覚えていないが、床に横たわって目を開けると、ストラスバーグが、椅子に腰掛けて、医者が患者を見るような目つきで考え深げに
「それも良いだろう。」
と一言、言ったのを記憶している。

僕は、非常に感情が強いとスタジオでストラスバーグに何回か指摘されている。

多分
アル・パチーノやデ・ニーロよりも強いと思っている。

話は逸れるが、或る日、ストラスバーグの個人のクラスで、一人の生徒が席を立ち、猛然と食ってかかって大声で叫んで、ストラスバーグを罵倒していた。

ストラスバーグも負けずにやり返しクラスは騒然とした。

僕は、静かに立ち上がった。

するとストラスバーグが、
「ZEN ! Don't do it!! Don't it!」
と叫んだ。

女の子達は泣き出し、クラスは騒然とし、パニック状態になった。

ストラスバーグを初め、みんなは、僕が彼を殴り倒すのだと思ったらしい。

僕は、彼にただ、教室から出て言って欲しいと思っただけだ。

椅子にかけてあった彼のジャケットを渡し、静かに一言、出て言って欲しいと伝えた。

彼は僕を見て、震えていたのを思い出す。

何時も優しく、温和で、人当たりが良い僕が、舞台に上がると豹変するらしい。

以前、
舞台で、10人程のメンバー達に囲まれて、戯曲に従い、一瞬怒りの感情を解き放つと、一人残らず舞台から消えてしまった。

何回繰り返しても同じことが起こる。

ストラスバーグに何回も、ぼくの感情の強さを指摘された。

(俳優が、命なんか要らないや。相手の額を割ったら、赤い血が流れて綺麗だろうなと、思わなかったら相手は動かない。)

・文章は長くならないようにとクギを刺されているのでこの辺で。

ZEN


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