2018年2月18日日曜日

若き俳優たちへ


いつも、気になるのは、俳優を目指す若者たち(現役の俳優達も)は、
演技の良し悪しが、わからないのではないかという事だ。

もしわかっていたら、こんなにもヒドイ演技をしないはずだ。

「真実に対する感覚」
と云われるが、それがなっかたら、いくら努力しても、夢遊病者ように同じところをぐるぐると歩き回ることになる。

まずテストとして、
マーロン・ブランドの『ゴッド ファーザー』を観るといい。

前世紀後半以降、現在に至るまで、彼の右に出る俳優はいない。

(これは、僕の個人的な意見でない。全ての批評家が認めている。)

ストラスバーグは
「彼は稀に見る才能とスター性を持っていたが、名優とは言えない」
と言っている。

エレノーラ・ドゥーザ 、トウマス・サルビーニ等の過去の偉大なる俳優達が存在したからだと言う。

(彼は、ドゥーザをはじめ何人かの偉大なる俳優を実際に目撃している。)

とにかく、
映画『ゴッド・ファーザー』を観て欲しい。

彼の演技に感動しなくても大丈夫。

骨董屋に丁稚奉公に入って、すぐに本物と偽物が見分けが付かないと同じことだ。

僕も若い頃マーロン・ブランドのどこがいいのか分からなかった。

僕は、あまりにも長い間訓練されたおかげで、
今では、俳優がテレビ画面に登場した途端に、
その俳優の資質、
演技レベル、
表現力、
可能性、
役を生きているのか、
演じているのか、
そして、
長所と欠点を指摘することが出来る。

そして、
その俳優にどんなサゼッションを与えれば、
より良くなるかがも解る。
(それが教師の仕事だ。)

まず、若い俳優達に望むことは、
トップクラスの演技を何回も何回も繰り返し見て、
自分の中の真実に対する感覚を育てる事だと思っている。

俳優は、
考えられれば、
生きられる。

実生活で、あなたが喫茶店に行くとする。
何処に座ろうかと考える。そして、行動を起こす。

殆どの俳優は、
探すフリをし、
考えるフリをするする。

演出家から指定された席に本当に探して、
考えて、決断して座るにはどうしたら良いか?

人生ではやっている。

本当に考えられなければ、
人生を反映できないし、
生きることができない。

人生では考えた結果、行動し、考えた結果行動しない。

「考えられれば、生きられる。」
とは、そうゆうことだ。


俳優の死活問題だ。

俳優はこの問題を解決しなければ、先に進めない。

この問題を解決しないで、訓練すればするほど紋切りの俳優になって行く。

そして、もう一つ俳優に必要なことがある。

表現力だ。

人生では、感じたことを抑え隠し、
感じてもいないことを感じたフリをする。

社会では、常に感じたことを抑え、
それが習慣になって
本当に感じたことを出したくなっても自動ブレーキがかかってしまう。

殆どの俳優は、
感じたことを出せなので、感じてもいないことをオーバーに表現する。

表現力を学びたかったら、小ちゃな子供を見ることだ。

瞬時に泣いたり笑ったり、何を感じているか手に取るように伝わってくる。

子供と犬が出てくれば、名優でも一歩引き退るという。

俳優の訓練は、想像の世界を信じること。

その信じたことが、あるがままに表れることだ。

(ブレーキをかける訓練は、社会で嫌という程やっているので、いつでも必要な時にかけられる。俳優の訓練は、喜怒哀楽すべての感情をフリーに感じるまま、外に出すこと、在るが儘に表現することだ。)

リラックスを深め、
集中力を高め、
表現力豊かにすることは、
実生活での人間の成長に役立つ。


ZEN