2018年6月15日金曜日

第3回 ザ・メソード演技訓練の実際

リラックスについてNO3

プライベート モーメント

スタニスラフスキーが
「公開の孤独」と言って心血を注いだ訓練方法の一つである。

舞台に立って、観客を前にしてその圧力からフリーにする。

観客からの視線をシャッタアウトするには、
どんな訓練、どんなアプローチがあるかを探求した。

才能ある俳優が、
観客からの抑圧のために自分の仕事にぎこちなさ、
居心地の悪さを感じて無惨にも舞台を終えることになる。

この対策として、
スタニスラフスキーが考え出した方法は、
頭上から想像のスポットライトを当て俳優がその中に留まることによって、
自分以外に誰もいないという感覚を育て
観客からの抑圧をフリーにすることを目的としたと言われる。

ストラスバーグもこの公開の孤独の課題に強い関心を持った。

そして、考えた。

人が普通、他人の目を気にしないで居られるときは何処かと?

それは自分の部屋だと。

それでは、自分の部屋をこしらえてみよう。

勿論、五感の記憶を使って自分の部屋を造ってみよう。

誰もが自分の部屋を容易に頭で考え、思い出すことができる。

五感の記憶を使うということは、頭で描いたものを、目の前に置くことだ。

目の前に自分の部屋のサイズを描いてみる。

部屋の広さ、床の広さ、天井までの高さ等目の前に置く。

窓の位置、かたち、窓を通して何が見えるか、
机など、家具調度品の全てを思い出して、目の前に置く。

じっくりと時間をかけて目の前に想像していくと、
自分以外に誰もいない、
独りきりだという感覚がやって来る。

そしたら本当に部屋が出来たかどうか試すために、
他人に見られたくないプライベートなことをやってみる。

ラブレターを読むとか、裸になるとか。

少しでも抵抗を感じたら、すぐやめて部屋を強化する仕事に戻る。

勿論このエクササイズは、クラス等人前でやる必要がある。

どんな技術でも習得するには、時間と努力が必要となる。

僕の場合、
路を歩く時も、オートバイを乗っている時もニューヨークの部屋と一緒だった。

この訓練のおかげで、アクターズスタジオのメンバーになる事が出来た。

試験当日舞台に駆け上がって想像のドアを開いたその時、
自分の部屋の黄ばんだ床が見えた。

審査員の一人一人の顔が見えるのに何の不安もない。

彼らの圧力を完全にカットした。

そして、フリーでインスピレーションの大波に浸る事ができた。

(スタジオ オーディションの詳しい模様は
http://zenhirano15.blogspot.com/2018/05/blog-post_12.html…
にて)

又、別の機会に、このプライベート モーメントは、
スタジオメンバーとストラスバーグの前で試し、何の抵抗もなく素っ裸になった。

スタジオで素っ裸になったのは、歴史上僕独りだったと言われた。

メンバー達の顔が見えるのに何の抵抗も感じない。

終わってから気恥ずかしかった。

このプライベートモーメントを自分自身で、
体験するまでは、その威力を実感できないと思う。

素晴らしいエクササイズだ。

ストラスバーグの考案した貴重な、最高のエクササイズだと信じている。



ZEN


(このプライベートモーメントのエクササイズは、それ以前に数々の五感の記憶のエクササイズを訓練する必要があると思う。)