昨夜、夜遅く久しぶりに、映画『ゴッド・ファーザー』のビデオを観た。
マーロン・ブランドとアル・パチーノの演技力のみに集中して4時間半余りのこの物語を観終わった。
映画史上最高傑作と言われているこの作品で、二人の演技力の違いをじっくりと見ることが出来た。
全ての批評家も認めていることだが、マーロン・ブランドは20世紀後半の最高の俳優である事に異存はない。
でも、殆どの人が見落としていることがある。
彼は稀に見る才能とスター性を兼ね備えていた。
スター性とは、舞台に出て来ただけで、観客を興奮させ、引きつけてしまう。
エルビス・プレスリー、マイケル・ジャクソン、マリリン・モンロー等
スタニス・ラフスキーは、スター性は天から俳優に送られた最大の贈り物だと言っている。
当代随一の演技力とスター性を注ぎ込んで誕生した『ゴッド ファーザー』は画面に忽然と登場し、彼の喜びや、悲しみ、苦悩の、数々を我々は目のあたりにする。
(ストラスバーグは、「 マーロン・ブランドは名優になる可能性はあったが、名優とは言えない」と言っていた。ストラスバーグは、過去にドゥーザ、サルビーニ、シャリアピン等偉大な俳優たちをを目撃していたからである。現在、宣伝のために誰もが名優になってしまう。)
一方アル・パッチーノは現在、演技派として高く評価されているが、とてもブランドの演技力に及ばない。
そのことは本人もわかっている。
アクターズ・スタジオでアル・パチーノが言っていたが、
「野外のテーブルで,二人で話すシーンで、マーロン・ブランドが、あまりにも小さい声で話すので、本当に耳を傾け聞かなければならなかった」
と言っていた。
「野外のテーブルで,二人で話すシーンで、マーロン・ブランドが、あまりにも小さい声で話すので、本当に耳を傾け聞かなければならなかった」
と言っていた。
その為とても、良い場面になったと思う。
又、アル・パチーノのベストシーンは、レストランで悪徳警官とボスを殺すシーンだと思っている。
トイレに隠された拳銃を捜すのに、有るか無いか、まったく知らないという、印象を与える。
モーメント、モーメントと言われる演技だ。
トイレを出て殺しに行く前に、両手で髪を抑える仕草が印象に残る。
若い俳優のみならず、日本の俳優たちは演技とは何かの認識に欠ける。
映画史に残る名作と言われるマーロン・ブランドの演技を何度も何度も繰り返し観て、他人に聞き回らないで、演技に対する認識を高めて欲しいと願っている。
「人は認識と共に育つ。」ストラスバーグ
ZEN