~注意の集中について~
注意の集中は、前回取り上げたリラックスと深く関わっている。
リラックスすると注意の集中力が増し、注意の集中が良くなるとよりリラックスするようになる。
普通人間の注意は自分にとって興味のあるものに向かう。
好きな人ができると四六時中思いにふけったり、好きなスポーツ、食べ物、ペット、植物、テレビ番組等々。
又、身の危険を感じさせるもの、地震、火災、車の運転等注意が要求される。
又、身の危険を感じさせるもの、地震、火災、車の運転等注意が要求される。
舞台に上がると観客に注意がいく。
俳優は観客に向けられたその注意を、フットライトの手前、舞台の上にあるものに引き戻さなければならない。
それは、相手役だったり、大道具、小道具、思考(ある考えに囚われる)等、そこに実際に無いもの、想像上のものにに注意を集中して自分にとって現実の世界にしなければならない。
そこに海は無いし、灼熱の太陽、白い砂浜は無い。
雨も風もなく、月もなく雪もない。
雨も風もなく、月もなく雪もない。
(殆んどの俳優は有るフリをする。)
これらの虚構を俳優にとって現実のものとするには強い集中力が必要であり、強い集中力は深いリラックスから生まれる。
実際に俳優の演技力を引き出すための、注意の集中力を高めるためにはどんな訓練をしたら良いのだろう。
実際にそこにあるものに注意を集中するよりも、そこに無いものに注意を集中した方が集中力を高められる。
あなたは、毎朝使っているコーヒーカップを思い出せるだろうか?
勿論頭では思い出せるが実際に、目の前に有ると信じられるだろうか?
青い海、潮騒、潮の匂い、肌を焦がす灼熱の太陽、どこまでも続く白い砂浜、人々の戯れはしゃぐ叫び声、遥か彼方、椰子の木の木陰で、あなたの恋人があなたをジーッと見つめている。
ああ幸せだ!
僕は今、青春を生きていると実感する。
僕は今、青春を生きていると実感する。
想像の世界に生きる。
これが俳優の仕事であり喜びだ。
想像の世界を驚くほど信じ易い人がいる。
演技とは信じることだと云われる。
普通、我々は訓練によって彼らのレベルに近づかなければならない。
このアプローチを五感の記憶の訓練と呼ばれる。
この五感の記憶の訓練は、僕にとって文章にするのは難しい。
想像の世界に生きるということは、俳優を目指す者の真の喜びであり目的である。
それ以外に俳優芸術は存在しない。
ZEN