2017年12月7日木曜日

俳優を目指す若者たちへ


テレビ放送で外国から有名なスポーツインストラクター達を呼んで子供達を訓練するという番組がある。

この番組をいくつか見たが 、それぞれの分野の教師達は経験豊かで、情熱もあり素晴らしいと思った。

しかし、しばらく、この番組から離れていたが、2、3日前、偶然今回の新体操のコウチ オリガ・ブヤーノワ(ロシア)の番組を見る機会を得た。

彼女曰く、
「誰でもトップになれるわけではありません。
でも新体操から得られることはたくさんあります。
自分を乗り越える力や、
恐怖心に負けない力、
人前で自分を見せる力、
集団で力を合わせ、共に何かを創造する力、
何年もそうゆう訓練をつんでいるから、新体操の経験者は、
社会に出ても、堂々としているのです。
今の自分を乗り越えていくためには、たとえうまくできなくてもやり遂げることが大事なのです。
柔軟性が大切、毎日の積み重ねが大切。」
と。

芸術、スポーツ、教育に至るまで、殆どのあらゆる分野で訓練方法が確立されている。

例えば、ピアノは、人間の体の外にあり、誰が鍵盤を叩こうが 、そのエネルギーの強さと、タッチの強さ、タイミングを正確に反映して音を出し、表現する。

しかし、人間は 、生きている楽器だ。

例えば、嫉妬心というというキーを押し表現しようとすると、そんなバカな事をするな 、みっともない、恥を知れ!とブレーキがかかる。

(子供は違う。喜怒哀楽を在るがまま感じるままに表現に移す。俳優訓練とは、子供になる訓練だと云われる。子供が出演している素晴らしい映画、『鉄道員』、『自転車泥棒』、『禁じられた遊び』等、何本もある)

話は、それるが、『禁じられた遊び』の子役を演じたブリジットが、ニューヨークの僕のアパートに友達に連れられて遊びに来たことがある。

もう、スッカリ成長していて魅力ある女性になっていた。

「どうやってあんなに素晴らしい演技をしたの?」
との僕の質問に答えてブリジットは、
「監督さんの云うことが、みんな本当のことだと思った。」
と言っていた。

演技とは、信じることだと云われる。

殆どの俳優は信じられないために、信じたふりをする。

嘘をつく。

演技訓練とは、子供になる訓練であり、舞台で起きている想像の世界を信じる訓練である。

そして、俳優は、人間という生きた楽器、この社会に順応するために、本当に感じたこと、考えた事を表さないように訓練された楽器を携えて舞台に立つ。

普通人間は 感じた事を表現し考えたことを言葉にする。

しかし、殆どの俳優は、考えないで、記憶されたセリフをいかにも考えたように話し、如何にも感じたようにオーバーなジェスチャーで立ち振る舞う。

センス オブ トルース という言葉がある。

真実に対する感覚だ。

一流になればなるほど、この感覚が研ぎ澄まされてくる。

アル・パチーノやロバート・デ・ニーロ等、現場で周りの人たちがみんな拍手するのに、もう一度やらせてくれと訴えるように。

では、真の俳優を育てる演技訓練とは一体どんな訓練だろう。

次週に続く。

ZEN

(僕自身、いつも衝動に従いやすく、今回も上記の新体操のインスラクター、オルガ ブヤーノワ の話をしたかったのに、またそれてしまって残念です。次週に回します。)