ザ・アクターズ・スタジオ 正会員 ゼン・ヒラノ
スターとは?
誰しも、青春の多感な時期には、
人の注目を集めたい、
他人に尊敬される様になりたい、
有名になりたい、
スターになりたいと渇望する時期があると思う。
音楽の世界では、
例外を除いて6,7歳までに世界のトップで、活躍出来るかとうか決まってしまう。
天から与えられた才能は明らかで、天才ピアニストと言われている辻井君をみれば分かる。
一度聞いた曲は全て記憶してしまう。
そして、自分の求める音を追いかけての努力が異常だ。
(異常な努力を出来る人を天才だとも言われる)
スポーツの世界でも大谷翔平選手をみればわかる。
日本人だと思え無い背丈と体格を持ち、
100年に一人、ベーブルースの後継者と言われる、彼の野球に対する情熱、努力が胸を打つ。
この様に他の分野では、初めからスターの存在は明らかだが、俳優の場合、舞台で観客の前に立って、ライトを浴びないと分からないと言われる。
よく、若い俳優たちは、スターになりたいと渇望するが、本人が出て来ただけで、人々を魅了してしまうスターの特質は、スタニスラフスキーは天からの贈り物だと言っている。
人は、スターに成ることはできない。
それは、天が、そして観客が決める事だと思う。
(マーロン ブランドは、演技力とスター性を兼ね備えた珍しい例だと言われる。)
でも、スターに成らなくても、想像の世界に入り込み、台本に書かれた役の人生を自分に起きたことの様に体験し、表現し、観客に感動を与えることは出来る。
僕は、誰かをスターにしようと思って生徒を訓練したことは一度もない。
俳優の喜びを、役に生きる喜びを、人々を感動させる喜びを体験して欲しいと願って訓練している。
(勿論、生徒の誰かがスターになって3億円ほど寄付してくれると嬉しいのだが。)
俳優訓練は人間訓練だと言われる。
人生でつけた心の汚れを吐き出し(感情の解放訓練を通して)、真の自分らしさを取り戻す。
そして役の生きざまを理解し、同調し、その役の眼でこの世界を見、考え、行動に移せる様にする。
俳優訓練によって人間を深く理解する様に成る。
我々は、自分の眼でこの世の中を見ているが、俳優は役の眼を通して世界を観、理解し行動に移す事を要求される。
僕の深く尊敬する演出家 エリア ・カザンは、
「演技とは人間理解だ。」
と言っている。
ZEN