2018年7月29日日曜日

第16回 ザ・メソード演技訓練の実際


訓練
センソリーウォーク
五感の記憶
お風呂


このエクササイズは、オーバーオール センセーションと言って、
体全体を動かしながら肌を刺激して、お湯の温かさ、濡れた感じ、抵抗感、浮力等を肌で思い出す[肌で考える]訓練です。


先ず始めに着ているもの、肌着を想像上(肌で感じながら)脱いでいく。

裸になったセンセーションを体験するための訓練なので、指先で肌着の感覚を感じながら、そして、行ったり来たりしながら、裸になって空気に触れた感覚を求め想像上の下着を脱いでいく。

どのエクササイズも同様、我々は五感の記憶を訓練するためであって、第三者から見て何をやっているのか、全く判る必要がない。

実際に脱がないで、素っ裸になった感覚の体験を求めて、いったり、戻ったりしながら、その感覚を肌で体験していく。

裸になった感覚を頭でなく、肌で感じとったら、床に座るか横になるかして、お湯の温かさ、濡れた感じ、抵抗感、浮力を求めて身体をユックリと動かし、お風呂の湯の肌の記憶を蘇らせる。


多くの人達の五感の記憶のアプローチの問題点は、頭になりやすい。

頭でなく、肌で考える習慣をつける。

又、結果を予測しない。

温かさを求めたら、お湯の抵抗感や浮力がやって来るかもしれない。

やってきた感覚に喜んでついていって、五感の記憶をより鋭敏なものにしていく。

又、出来させようとしない。

出来させようとすると出来ない。

出来ても出来なくても気持ち良く終わるように心掛ける。


一回に15分から30分やってみよう。


五感の記憶の訓練は、演技を説明の演技から体験の演技へと導いてくれる。

その重要性をいくら強調しても強調し過ぎることはないと思っている。

歴史に名を残す名優と言われた人達は、生まれつき五感の記憶に卓越していたと思っている。

ここは海ですよ!
灼熱のさばくですよ!
月夜です!
疲労困憊、死ぬかもしれない!
10年振り故郷の家に帰ってきた、目の前に母がいる。
等々、全て想像の世界の現実感は五感の記憶によってもたらされる。


僕自身、この五感の記憶の修得無くしてアクターズ スタジオの最終試験(合格者、千人に一人)の難関を勝ち抜く事が出来なかった。

次回は、アクターズスタジオの最終試験の体験談を掲載したいと思っています。

ZEN