2018年3月24日土曜日
若き俳優達へ
アクターズ・スタジオの目的は、
演技に関する個々の俳優の悩みを解決しようとの目的で設立された。
実際にほとんどの演出家は、
俳優の演技を指導できない。
俳優が一流になれば、成る程演技に関して
自分自身で解決困難な微妙な問題を抱えて苦しむ。
これらの俳優達の問題を解決するために立ち上がったのが、
アクターズ・スタジオである。
当時、現役の優秀な俳優達を招待する一方、
才能豊かな人材を求めてオーディションを行なった。
オーディションは、当時、三次試験まであって、
最終試験は年間に一回、
合格者は1000人以上に一人か、二人。
メンバーになった俳優は
自分の抱える未解決の問題を持ち込んで解決に当たる。
授業は週に2回,
1回2時間、
1人1時間割り当てられる。
メンバーになれば、
完全無料、
毎週出席してもいいし、
10年に一度顔を出してもいい。
僕は、ラッキーなことに天才教師ストラスバーグに
10数年間にわたり教えを受ける事が出来た。
ストラスバーグは
半年間はニューヨーク、
半年間はハリウッドで
教えていたが、
僕はニューヨークのクラスに一度も欠席した事がない。
メンバーは、
自分の出来ることを見せるのでなく、
自分のできないこと見せるところだ。
ストラスバーグは言った。
「この俳優の問題を、
今日解決出来るかもしれないし、
五年後に解決するかもしれない。
しかし、必ず解決してみせる。」
と。
アル・パチーノやデ・ニーロも4,5回は落ちているはずだ。
ハーヴェイ・カイテルはメンバーになるのに10年掛けた。
ほとんどの俳優達は一回落ちると辞めてしまうのに。
ストラスバーグは言っていた。
「彼達は毎回受けるたびに成長していった。」
と。
上記の俳優達と同年輩なので良く知っているが、
才能も確かだが、努力が素晴らしい。
アルは、朝5時にに起きて訓練をしていたし、
デ・ニーロは役のために実際にタクシードライバーをやったり、
一つの映画で20キロも体重を減らしたり増やしたりしている。
このレベルの俳優になるには、どうしても、必要な事がある。
才能と努力だ。
どの世界でも共通のことだと思うが、
「努力があっても才能が無ければ役に立たないし、
才能があっても努力がなければ、役に立たない。」
ストラスバーグは言っている。
こう書いてくると
誰もがトップに成らなければいけないように聞こえるかもしれないが、
全くそんなことはない。
演じる事が好きで観客の前で自分を表現し、
みんなに喜びや感動を与えられたら素晴らしい人生だと思う。
自分に喜びを与えたかったら人々を喜ばせることだ。
志を同じくする人が集まって、グループ活動や劇団を作りあげるのも素晴らしい。
但し、有名になるために俳優になろうとするのなら辞めたほうがいい。
抜群の容姿と観客を引きつける魅力が必要だ。
又は、強烈な個性とそれを放射し続けるパワーが必要だ。
その他、人間的な暖かみ、優しさ、その他、想像の世界に入り浸ってしまう能力が必要だ。
あなたを有名にするのは、あなたではない。
観客だ。
又、ストラスバーグは、言っている。
「人間の心を開くこの俳優訓練法は、
むしろ一般の人たちにこそ役立てていくべきものではないだろうか」
と。
僕のワイフ・ミユキは、
30年掛けて習得した技術は
ヒラノ・ミユキ著 『感情の解放 』 角川文庫に書かれてある。
今、この3年間毎朝5時に起きて研究を続け、
未来を担う一般社会の幹部候補生の指導に当たっている。
このような実績を見て、ミユキに演技力が無いと思うかもしれない。
しかし、今、日本に、ミユキの演技力を上回る俳優は一人もいない。
もし、あなたが異議をとなえるなら、あなたの得意な台本を持ち込んで彼女に挑戦するといい。
公共の場で、同じ役を、いつでも演じて見せる用意がある。
ZEN
ストラスバーグ曰く、
「我々は、演技の本流を泳ぐ。」