2018年2月26日月曜日

ザ・アクターズスタジオと恩師リーストラスバーグの思い出


~第8話~

僕が、ストラスバーグの個人のクラスで初めて演技したのは、
相手役の女優と組んで、演じた戯曲の一場面。

今、思い返して覚えていることは、相手の女性が病気で寝ていて、
彼女を元気付ける為に、お盆にコーヒーを乗せ 、右脇の下を通して頭の上で一回転させ差し出す。

(相手役にも知らせず、一生懸命に練習した。)

しかし、そこは、ストラスバーグにとって、一切関心がなかったらしい。

ストラスバーグは言った。
「ゼン、あなたのやった演技は全て リアリティーがあり信頼できる。但し、コーヒーカップにコーヒーが入っていなかった。」
と。

この一言が、
演技とは何か、
リアリティーとは何かを
実感させられ 、
僕の一生の宝となった。

俳優が想像の世界に入り込むには、空のコップのなかに、コーヒーが入っていると実感する事だ。

味、匂い、色、湯気、液体の揺らめきと重さを五感の記憶で捉え、空のコップにコーヒーが入っていると信じる事で、想像の世界が広がっていく。

演技とは、
信じる事だと言われる。

あなたは舞台に立って目の前が海だと信じる事ができるだろうか?

目の前に立っている相手役が恋人だと信じて、胸をときめかせる事ができるだろうか?

僕は、この日、ストラスバーグに教わった。

からのコップにコーヒーを入れる事が、想像の世界に入り込む鍵だと。


いつも、お堅い話ばかりなので、柔らかいお話しを一つ。
昔、昔のお話。

当時、僕は、若く、美しく、ダンスで鍛えた抜群のスタイルを持っていたという。
ストラスバーグのクラスの若く、美しい女優たちが7,8人集まって、誰が一番先にゼンを落とす事ができるか競争しようという事になったと言う。
その事を報告しに、一人の若く美しい女優が僕のアパートに現われた。


ZEN

チャップリン



最近、チャップリンの映画『モダンタイムス』等
何本かの映画を見たが、
十年前も今日も
同じ印象を受ける。

画面から距離を置いて、
冷静に楽しんでいる
自分がいる。

こうゆう人を
天才というのだろう。

ZEN

2018年2月21日水曜日

エレノーラ・ドゥーゼ



エレノーラ・ドゥーゼは、
100年に一度の名女優
と言われた。
(1854年~1924年)

「あなた、綺麗ね」
と言われて顔を赤らめるシーンで、
他の全ての女優は、
顔を下に向けて、
息を詰めたり、
頬をつねったりして
顔を赤らめたりしたが、

ドゥーゼは、
毎晩言われるたびに
実際に、
顔を赤らめたと云う。

最高に難しい演技は、
他殺でも、
自殺でもなく、
この演技だと、
スタニスラフスキーは
言っている。

ZEN

2018年2月18日日曜日

若き俳優たちへ

今、冬季オリンピックが盛んに行われている。

それぞれの競技で金メダルを目指して体と精神を鍛える。

力強さ、敏捷さ、バランス感覚等の熾烈な訓練を通して肉体と意思の力を養う。

一方、俳優は、感情が非常に伝わりやすい訓練を必要とする。

子供を見るとわかる。

泣いたり笑ったり、感じた喜怒哀楽を瞬時に表す。

子供の表現の自由さは、名優でも敵わないという。

(俳優訓練は、子供になる訓練だともいわれる。)

子供は成長するに従って、社会の要求に従って、感情にブレーキをかける訓練を教え込まれる。

俳優は感情を表す世界だ。

マイケル・ チェーホフは、「アクティングは感情の王国だ」と言っている。

我々は余りにも社会で感情にブレーキをかける訓練を受けたので、何かを表したいと感じても、オートマティックにブレーキがかかってしまう。

この自動的にかかってしまうブレーキを外すのが、俳優訓練の最重要課題だと言われる。

(感じたことを何でも、勝手気ままに表すようになったら、社会生活はやっていけないと、思うかもしれないが、心配無用、ブレーキを必要とするときは、いつでもかけられる。ブレーキをかけるのを永年社会生活で訓練して来たからだ。)

では、人間はどこでブレーキをかけるかといえば、体のある部分を緊張させることによってブレーキをかける。

歯を食いしっばったり、
肩を怒らせたり、
特に腰に強い感情が押さえ込まれていると言われる。

僕は長い経験のおかげで、その人の前に立つと、その人の体の何処に緊張があるかが、伝わってくる。

その緊張を俳優自身が感じ取って、脳で緩めと命令して(人前で体操するワケにはいかない)緩まる能力獲得するのが、俳優訓練の先ず、第一に手をつける課題だと思っている。

リラックスの訓練は集中力を必要とするので、両方を同時に高めることができる。

俳優のみならず、どの分野にも、どの職業にも必要不可欠な課題だ。

100メートルを10秒を切る選手、ボクシングで殴り合ってる選手を見て、解説者が「今日はリラックスが良いですね。」と言ったりする。

では、リラックスとは何か?

それは緊張していないということであり、緊張とは何か? 不必要な力だ。

不必要なものは、不必要だ。

どんな職業でも、一流の人達は、間違いなくリラックスが良い。

なぜなら、今、やっている事に対して集中力が異常なレベルまで高まるからだ。

リラックスと集中力は深く関わり合っていて、リラックスが良くなると、集中力が増し、集中力が深まると深いリラックスがうまれる。

ましてや、俳優は人前に立つ。

人は、他人の視線を感じると緊張する。

その時に、自分の体に「リラックスしろ!」と命令して筋肉を緩める必要がある。

緊張すれば、あなたが表現したいと望む思考も、感情も、体の動きもぎこちなくなる。

一人で自分の部屋にいるときはリラックスしている。

人前に立って自分の部屋にいると信じられれば、素っ裸になっても大丈夫。

(ストラスバーグのプライベート・モーメントのエクササイズは、それを可能にした。僕は、スタジオで実際にテストした。)

以前にもリラックスについて話したが、リラックスについて、今回もくどくどと言っているのは、俳優訓練の基本中の基本だから。

俳優のみならず、リラックスは、どんな職業にも、運動選手にも、たとえ、悟りを開くにも必要不可欠。

我々は、舞台で、リラックスを慣れでなく、(だいたい5,6年かかる) リラックスそのものを直接訓練する事によって、数ヶ月という短期間の訓練で修得することができる。

ZEN



若き俳優たちへ


いつも、気になるのは、俳優を目指す若者たち(現役の俳優達も)は、
演技の良し悪しが、わからないのではないかという事だ。

もしわかっていたら、こんなにもヒドイ演技をしないはずだ。

「真実に対する感覚」
と云われるが、それがなっかたら、いくら努力しても、夢遊病者ように同じところをぐるぐると歩き回ることになる。

まずテストとして、
マーロン・ブランドの『ゴッド ファーザー』を観るといい。

前世紀後半以降、現在に至るまで、彼の右に出る俳優はいない。

(これは、僕の個人的な意見でない。全ての批評家が認めている。)

ストラスバーグは
「彼は稀に見る才能とスター性を持っていたが、名優とは言えない」
と言っている。

エレノーラ・ドゥーザ 、トウマス・サルビーニ等の過去の偉大なる俳優達が存在したからだと言う。

(彼は、ドゥーザをはじめ何人かの偉大なる俳優を実際に目撃している。)

とにかく、
映画『ゴッド・ファーザー』を観て欲しい。

彼の演技に感動しなくても大丈夫。

骨董屋に丁稚奉公に入って、すぐに本物と偽物が見分けが付かないと同じことだ。

僕も若い頃マーロン・ブランドのどこがいいのか分からなかった。

僕は、あまりにも長い間訓練されたおかげで、
今では、俳優がテレビ画面に登場した途端に、
その俳優の資質、
演技レベル、
表現力、
可能性、
役を生きているのか、
演じているのか、
そして、
長所と欠点を指摘することが出来る。

そして、
その俳優にどんなサゼッションを与えれば、
より良くなるかがも解る。
(それが教師の仕事だ。)

まず、若い俳優達に望むことは、
トップクラスの演技を何回も何回も繰り返し見て、
自分の中の真実に対する感覚を育てる事だと思っている。

俳優は、
考えられれば、
生きられる。

実生活で、あなたが喫茶店に行くとする。
何処に座ろうかと考える。そして、行動を起こす。

殆どの俳優は、
探すフリをし、
考えるフリをするする。

演出家から指定された席に本当に探して、
考えて、決断して座るにはどうしたら良いか?

人生ではやっている。

本当に考えられなければ、
人生を反映できないし、
生きることができない。

人生では考えた結果、行動し、考えた結果行動しない。

「考えられれば、生きられる。」
とは、そうゆうことだ。


俳優の死活問題だ。

俳優はこの問題を解決しなければ、先に進めない。

この問題を解決しないで、訓練すればするほど紋切りの俳優になって行く。

そして、もう一つ俳優に必要なことがある。

表現力だ。

人生では、感じたことを抑え隠し、
感じてもいないことを感じたフリをする。

社会では、常に感じたことを抑え、
それが習慣になって
本当に感じたことを出したくなっても自動ブレーキがかかってしまう。

殆どの俳優は、
感じたことを出せなので、感じてもいないことをオーバーに表現する。

表現力を学びたかったら、小ちゃな子供を見ることだ。

瞬時に泣いたり笑ったり、何を感じているか手に取るように伝わってくる。

子供と犬が出てくれば、名優でも一歩引き退るという。

俳優の訓練は、想像の世界を信じること。

その信じたことが、あるがままに表れることだ。

(ブレーキをかける訓練は、社会で嫌という程やっているので、いつでも必要な時にかけられる。俳優の訓練は、喜怒哀楽すべての感情をフリーに感じるまま、外に出すこと、在るが儘に表現することだ。)

リラックスを深め、
集中力を高め、
表現力豊かにすることは、
実生活での人間の成長に役立つ。


ZEN


2018年2月6日火曜日

シャリアピン


映像に残っているもので、
唯一偉大な演技だと感じさせられたのは、
シャリアピンの演じる
「ドン・キホーテ」

ただ、
ズケズケと歩いているほんの数秒の一場面。

なぜか偉大だと感動した。

彼は、歌手なのに。

僕は彼の歌を78回転盤を時々、蓄音機で聴いているが、魂を揺さぶる歌声だ。

勿論、
シャリアピンのようになれと言っているわけではない。

でも本物を知ることで、
自分が正しい道を歩いているかどうかを
知ることができる。


ZEN


河口湖コミュニティ再開のお知らせ
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河口湖コミュニティ
オープン・ハウス
2月17日 13時~
2月27日 13時~
ゼン・ヒラノによる講義もあります。

予約・問い合わせ
info@zenhirano.jp
まで。

2018年2月3日土曜日

河口湖スタジオ オープンハウスのお知らせ



ゼンヒラノ演技スタジオ
河口湖スタジオ オープンハウス
開催します!

特別に河口湖スタジオの内部を紹介!

1階
広いリビング・ダイニングルーム

3階 
自由に動き回ることができるスタジオ

ゼン・ヒラノが想像を働かせ、創造したスタジオです。

そして、当日はゼン・ヒラノからの講義も。

それは、
あなたの心に響き、
やる気を起こさせるはず!

日時は以下の通りです。
2月17日㈯ 27日㈫ 13時~15時


お問い合わせ・予約はinfo@zenhirano.jp
までお願いいたします。


偉大な富士の山

自然が待っています。

ザ・アクターズスタジオと恩師リーストラスバーグの思い出


~第7話~

ゼン・ヒラノ


ストラスバーグが個人のクラスを開いていたので、すぐに申し込んだ。

どうゆう訳か、
俳優の基本訓練に異常な興味を感じた。

それが何十年 にも、絶えることなく続いている。

確か、受講希望者が多く、僕は、特別に早く入れてもらったことを覚えている。

クラスでは、センソリーウォーク(五感の訓練)に出たくてウズウズしてが、3.4週間待たされた。

やっと、「ゼン」と名前を呼ばれるやいなや床に転げまわり(普通は椅子にゆったりと座り、リラックスの訓練をする)今まで無意識に溜め込んだ感情を全て解き放した。

5分か10分、時間は覚えていないが、床に横たわって目を開けると、ストラスバーグが、椅子に腰掛けて、医者が患者を見るような目つきで考え深げに
「それも良いだろう。」
と一言、言ったのを記憶している。

僕は、非常に感情が強いとスタジオでストラスバーグに何回か指摘されている。

多分
アル・パチーノやデ・ニーロよりも強いと思っている。

話は逸れるが、或る日、ストラスバーグの個人のクラスで、一人の生徒が席を立ち、猛然と食ってかかって大声で叫んで、ストラスバーグを罵倒していた。

ストラスバーグも負けずにやり返しクラスは騒然とした。

僕は、静かに立ち上がった。

するとストラスバーグが、
「ZEN ! Don't do it!! Don't it!」
と叫んだ。

女の子達は泣き出し、クラスは騒然とし、パニック状態になった。

ストラスバーグを初め、みんなは、僕が彼を殴り倒すのだと思ったらしい。

僕は、彼にただ、教室から出て言って欲しいと思っただけだ。

椅子にかけてあった彼のジャケットを渡し、静かに一言、出て言って欲しいと伝えた。

彼は僕を見て、震えていたのを思い出す。

何時も優しく、温和で、人当たりが良い僕が、舞台に上がると豹変するらしい。

以前、
舞台で、10人程のメンバー達に囲まれて、戯曲に従い、一瞬怒りの感情を解き放つと、一人残らず舞台から消えてしまった。

何回繰り返しても同じことが起こる。

ストラスバーグに何回も、ぼくの感情の強さを指摘された。

(俳優が、命なんか要らないや。相手の額を割ったら、赤い血が流れて綺麗だろうなと、思わなかったら相手は動かない。)

・文章は長くならないようにとクギを刺されているのでこの辺で。

ZEN


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2018年2月1日木曜日

第55回『神との対話』に魅せられて



『神との対話』を読み始めて15年経った。

全8巻、ページ数にすると3,000ページあまり。

ほとんど毎日ぺージをめくっているが、とても自分が人間的に成長したと思えない。

記憶力も人一倍悪いし、この本に書かれていたことを何一つ覚えていないような気がする。

ではなぜ、この本を手にとてページを開こうとするのか?

「今、わかった。」

僕は、この本に恋に落ちているのだ!

恋に落ちていれば、恋人に会いたいと思うのは当然。

そして、感謝と感動を与えてくれる。

今日も、感動を求めてぺーじを開く。

覚えなくていい。
解らなくていい。

今日も恋人に会うために、ぺーじを開く。

ZEN

ゼンヒラノ演技スタジオ
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