2021年3月22日月曜日

太極拳の薦め №2

 若い人を含め、意外に多くの人は、

本来の自然のポーズ、動作の美しさを失って居ると思っています。


無意識に肩を怒らしたり、

背中を丸めたり、

首を突き出したり傾けたり、

眉を顰めたり、

口を真一文字に閉じたり、

不用意に開けたり、

ベタ足で歩いたり、

ひょこひょこ歩いたり等々。


勿論、

モデルのような歩き方をすすめている訳ではありません。


不必要な癖のない、

自分らしい、

自然な歩き方、

自然な立ち振る舞いを身に付けることを、

太極拳から学ぶ事ができます。


随分昔話になりますが、

招待されて中国の京劇を観に行った事がありますが、

俳優達の身体能力は世界一。


今床に横たわったと思ったら、

次の瞬間何の努力もなくふわっと立ち上がっている。


かたちの美しさ、

正確さ、

軽やかさは

太極拳の訓練から来ると聞かされました。


勿論、我々は、

U(ウー)スタイルの太極拳を通して

軽業師的なものは望みません。


しかし、

Uスタイルの太極拳を通して、

動く瞑想を学びます。


それは、

明確に決められたホーム、

そして、常にゆっくりとした一定のスピードの動きをを通して

瞑想の世界に身を委ね、

かつ、立ち振る舞いの美しさを身に付ける事になります。



NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

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2021年3月21日日曜日

太極拳の薦め №1

 多くの人は心配事を常に抱えて生活して居ることが多い。


それが、金銭的な事だったり、交友関係の事だったり、健康状態等々。


これらの心配を抱えて、

自分でも気づかずに駆けずり回って、

騒ぎ立ててる事が多いと思います。



書籍『神との対話』に、

著者が

「静かにするにはどうしたらいいか?」

という質問に、

「静かにしろ!」


全くその通りだが、

我々凡人に実行することが難しい。


静かにするには、リラックスするには、

散歩したり、お風呂に入ったり、お酒を飲んだり(続ければアル中になる)等々。


そこで、不安や心の心のざわつきを鎮める為の瞑想があります。


僕が勧めるのは動く瞑想、

「太極拳」です。


太極拳は、

心を静かにするだけでなく、

各自の癖や、不自然立ち振る舞いを矯正し

その人固有の美しさを引き出すことを目的とします。



僕の習得した太極拳、U(ウー)スタイルは、

格闘技と一切関係なく、

心と体のハーモニー(一体感)心身の健康を目指すものです。


このUスタイルは、

正確なポジション、正確なスピードを要求される。


その理由は、

自分の注意を常に抱える日常茶飯事の煩しさから一時的にも、

心からシャットアウトできるように構成されて居ます。


動く瞑想だと言われる所以です。


このUスタイルは、老若男女誰にもできるよう構成されて居ます。



NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

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2021年3月20日土曜日

チャップリン

http://cinepara.iinaa.net/Image2/charleschaplin/Charles_Chaplin.jpg





最近チャップリンの映画を毎晩観ているが、
彼の偉大さに驚かされる。

これ程の才能を持ち合わせて居るのに、
作品に対する情熱、
努力がすさまじい。

共演の主役級の俳優は勿論のこと、
端役で登場する役者達も、
そして犬までも
彼固有のスタイルを持って
登場するように思われる。

人間の裸にされた生き様を、
笑いを通して
画面いっぱいに繰り広げている。

どんな場面も、
一場面たりとも、
不用意に提供されたシーンはない。

天才とは、
究極の努力が出来る人だと言われる。

利益優先の世の中、
チャップリンのような天才は
この世に二度と現れないだろう。


ZEN  HIRANO


2021年3月19日金曜日

太極拳

ストラスバーグが

ニューヨーク公演の京劇の俳優達を見て、

大変に驚かされたと言った。


それは、

俳優達が一人残らず、

驚異的の柔軟性とリラックスで舞台を動き回っていたことだ。


早速、

楽屋を訪れてどんな肉体訓練をしているのかを問いただした。


「太極拳」と言う答えが返ってきた。


早速、

太極拳の教師ソヒヤ ・デルザをスタジオに招いて

デモンストレーションをしてもらったと言う。


この話を聞いたその日に、

師ソヒヤ・デルザの教室を訪れて教えを受けることになった。


当時、通っていたダンスを辞めて太極拳に夢中になった。


僕は、人一倍覚えが悪いので

その日に教わった動きを必死に頭と体に叩き込んで

急いで家に持ち帰り、

友達の俳優達を呼んでその日に教えて覚えることにした。


今でも、記憶力が悪いのは つくづく残念だと思うが、

それを長所に変えてきた。


何をやるにも、単なる記憶に頼らないで 、

創意工夫し、自分の胸に聞いて自分自身の独創性を大切にしてきた。


誰でも一人一人、

天から与えられたその人固有の素晴らしさを持っている

と信じている。


耳でなく、胸に聞こう。


僕がアクターズ・スタジオで、

演技に、演出に高い評価を得たのも、知識に頼らず、

自分の感性に従って信じる道を歩いて来たからだと思う。


太極拳も教わった形は、人一倍正確に取得したが、

その型に自分なりの美的感覚を入れて、

誰よりも遥かに美しく動けるようになった。


(動く瞑想だと言われる)


ここで僕の教わったウー スタイルの太極拳について

説明する必要があるとおもう。


この太極拳ウースタイルは

一番から六番まであって 、

ゆっくりと動くと30分くらいかかる。


格闘技を一切考慮に入れず、

ゆっくりと一定のスピードで動くことを要求される。


常に正確なホームと一定のスピードを要求されるので、

形に対する美的センス、柔軟性、リラックスを習得することができる。


(普段の生活での立ち振る舞いが美しくなる。)


そして、この太極拳から得られる最大のメリットはリラックスだ。


上げた腕に蝿が一匹止まったら

その腕が下がるほどに力を抜けと言われる。


徹底して力を抜くので腕を上げると即、肩が痛くなる。


リラックスのため肩が痛くなれば成功だといわれる。


この太極拳ウースタイルを習得することによって、

集中力、忍耐力、柔軟性、形に対する美的感覚、

そしてリラックスを習得できる。


このウースタイル太極拳(日本では紹介されていない)は、

決められたフォーム、スピードを大切に守る事によって

心の穏やかさをそして、美しい動作、立ち居振る舞いを

身につけることができるようになる。


太極拳は動く瞑想だと言われる。


ZEN


近々、有料の太極拳を講座をスタートさせたいと思っている。

僕は、どんなレッスンを受けるのに、無料で受けたことはない。

ストラスバーグの個人のクラスも、2年受けたとき、

ストラスバーグに

「ゼン、もう授業料は払わなくて良い。」

と言われたが10年間払い続けた。

だから、本当に真剣になることができた。


ビデオを通しての講座となるが、

受講者の質問、要求にも具体的に答えていと思っている。

太極拳の実際の効果について動画でお伝えしようと思っている。


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2021年3月18日木曜日

大下先生

 


僕の師に87歳になる大下先生という人がいる。


初めてお会いした瞬間から、

この人のレベルに到達するには、

後、2回程生まれ変わる必要があると思った。


今でもそう思っている。


彼女は施術師で必要に応じて、

松葉杖をついて、

夜行バスに乗り患者の元へ駆けつける。


それに比べて、

僕の生き方はなんて甘ちょろいのだろう。


彼女よりはるかに恵まれた生活をしているのに。


残された人生、

今からでも心を入れかえて、

熱い想いで仕事に立ち向かおう。



NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

2021年3月17日水曜日

僕がアクターズ・スタジオの最終試験に三日前に招待されて合格した理由

 ~五感の記憶の訓練の必要性~


人間は、死力を尽し全力でなにかに立ち向かった時、

神からの授けものインスピレーションがやって来るのだと思う。


インスピレーションと云えば、

私ごとになるが、昔ニューヨークに住んでいた頃の話。

ザ・アクターズスタジオのオフィスから、最終試験を受けるように言われた。


(最終試験に招待される俳優は滅多になく、スタジオの永い歴史上、無名の俳優が合格したのは皆無だと言われる)


普通、一次、二次試験をパスして最終試験にたどり着くのに4,5年掛かるのに

冗談でなく試験日の3日前。

(これまでに、スタジオで演出と演技を高く評価されたのが要因だと思う。当時、年間1,000人以上の受験者の内、最終試験の合格者は年間に、1人か2人。)

YES、と言って、今、考えると無謀にも一歩前に出た。


相手役には、

当時の雑誌の表紙に、

彼女の美しさは心の美しさと紹介された北欧の美人アルバが、協力してくれた。


(スタジオには美人が少ない。一切容姿で取らない。アルバは例外。)


3日間のリハーサルは無残。

何1つ掴めないまま過ぎてしまった。


当日、僕は、不安から試験の5、6時間前に行ってしまい、

スタジオの片隅でジット蹲っていた。


アルバが巫女のように僕の前に立ちはばかり、

興奮した他の俳優達が僕に話し掛けるのを防いでくれた。


無味乾燥な時間が刻々と過ぎて行った。


徹底して追い詰められた。


どうしても役に入る糸口が見つからなかった。

孤独だった、苦しかった。


その時ふと、ある考えが浮かんだ。


僕は、何故、ここで、こんなに苦しんで待っているのだろう。

勿論試験を受ける為だ。

しかし、僕の演じる役は、

何故、こんなに苦しんで待っているのだろう?と。


そこから、インスピレーションがひらめき、

想像力に火がついた。


(僕が、演じる役は、映画『さよなら』からの俳優の役だ。)


徐々に役の世界に入り込んで行って、

自分と役がひとつになって行った。


役の人間、つまり僕は、

先週、これが芸術のあるべき真の姿だと確信して、

自信を持って新しい形を舞台で精一杯表現した。

上司達は其れが気に入らなかったらしい。

今日は給料日、

上司は(審査員)は、一人一人名前を呼び、

呼ばれた者は、2階のホールに上がって行く。

ほおら、又一人降りてきて,

また一人呼ばれて上に上がっていく。

僕は幹部俳優なのを知っているのに、

彼らは延々と僕を待たしている。

4時間も、5時間もだ!

役の人間としても、僕自身としても、

こんな所に1分も居られない。

ドアを蹴破って出ていって二度と戻る気はない!  

しかし、妻が病気で入院している。

今日どうしてもお金を持っていかなければならない!

僕の想像力は、高く、遠く羽ばたいていった。


その当時までには、

かなりの演技力を体得していて、

一生に一度か二度しか体験した事のない、

深い悲しみの感情を、

意識的にこの場で起させることが、

出来るようになっていた。


エクササイズNO、1「感情の記憶の訓練」

その事件に集中し始めると、

訓練のお陰で

一生に一度、体験した悲劇的な事件に注意を向けると、

直ぐさま強烈な感情がやってきた。


(前々からストラスバーグに、ゼンは非常に強い感情を持っていると、指摘されていた。僕が怒りを爆発させると、7、8人の屈強な男たちが舞台の外へ逃げて行くのをこれまでに何度も経験していた。不思議に思った。俳優は命なんか要らないやと思わなければ相手を動かせないと思っている。)


そのやってきた、煮えたぎる感情を確かめる為に、

ふっと息を吐くと胸が焼け、ドラゴンが火を噴いているようだ。

普通このような激情をキープできるのは15分だと言われる。


しかし、僕の名前が呼ばれるまで、

30分以上待たなければならない。


苦しかった。


感情が消えてしまわないようじっと部屋の片隅でた。


耐えつづけた。


名前を呼ばれた!


階段を駆け上がった。


審査員に向かって

「ゼン・ヒラノ」と叫んだのを今も記憶している。


想像のドアを両手で横に押しひらく

とニューヨークの僕のアパートの黄色味がかった床が見え

誰一人いない自分の部屋だと確信した。


NO、2「プライベイト モーメント」と云う

エクササイズのお陰で、

審査員を前にしても、自分以外に誰もいないと云う感覚がやってきた。


想像のドアを閉めた。


想像の自分の部屋で一人きりになった。


誰も居なかった。


この数時間、

胸に溜め込んだ怒り、悲しみ、挫折感を、

着ているものを剥ぎ取って床に叩きつけて、

叫び声と共に、強烈な感情を一気に吐き出した。

腸のあたりに激痛が走って、体が静かに床に沈んでいった。


(この痛みはその後一週間続いた。)


劇痛で動けない。


あゝ、これで、試験は終わったなと静かに思った。


その時、スタニスラフスキーの言葉を思い出した。


「舞台は演ずるために行くのではない。戦うために行くのだと。」


また、ストラスバーグは、

「怖いと思ったら一歩前にでろ!  それがゴーサインだ。」と。


痛みに耐え全身の力を込めてユックリと立ち上がった。


天が与えてくれたインスピレーションの大波の真っ只中に身を置いていていた。


たとえ一万人の競争相手がいたとしても僕がトップだと確信した。


このようなインスピレーションがやってくると、

不思議な意識の分裂を経験する。


夢中になって演技している役の自分と、

それを何処か高いところで見守っている自分がいる。


後者の自分が

「ゼン・お前のダンスで鍛えた美しい身体を使って、想像した鏡の前に立ち、ダイナミックなポーズを見せてやれ!  これがアートだと叫んで審査員達を喜ばせてやれ!  彼等は芸術が大好きだから。」


「ゼン、次は机の所に飛んで行け。拳を固めて机を叩き、挫折感を演じろ。彼等は又、採点するぞ。」


役の自分は、全力をあげて、

役の人生を誠実に、真剣に生きているのに。

不思議な意識の分裂を経験した。


挫折してぶざまに、醜態をさらけ出し、

ボロボロになった男を、

いつのまにか、戸口に立った北欧の美女が静かにジーとこちらを見ている。  


又、審査員の同情を買って採点されている。


涙を誤魔化す為、隈取り用のハンカチを探したが、

係りが、置き場所間違えた為、僕は必死になって探した。


舞台で実生活と同じレベルで行動できるのは稀なる幸運だ。


又、採点される。


夢中に刻々と真剣に役を演じながら、

同時にどこで採点されるかをすべて知っていた。


「ゼン、サンキュー」

の声がして演技を終えた。


十数人あまりの審査員が、こちらを見ている。


戦いは終わった。


何か、とめどなく悲しい気持ちがした。


どんなオーディションも二度と受けないと思った。


待合室に降りて行くと、

二人ほど審査員が興奮気味に駆け下りてきて、

「もう少し待っていれば、ストラスバーグから直接話があるだろう」

と言われた。


しかし、荷物をまとめ、

何か、もの悲しい気持ちで、

ひとり暗闇のニューヨークの街に消えて行ったことを記憶している。


そして、僕は教師の道を選んだ。


いま、考えるとメンバーになったことで、

大きく人生の方向が変わって行った。


怖いとと思ったら一歩前に出よう!  

それがGOサインだ。

それがあなたの人生を変える。


今回、ここでみんなに伝えたいのは、

千人に一人の最終試験でなぜなぜ3日で合格したかである。


今、活躍しているアル・パチーノやロバート・デ・ニーロがメンバーになるまで、

5、6年もかかっていると聞いている。


僕の好きなハービー・カイテルは、10年かかったと本人が言っている。


もちろん一回で受かることに価値がある訳ではない。


ストラスバーグは、

彼達が試験を受けるたびに確実に、成長していったと言っている。


その努力のおかげで彼達の現在がある。


それでは、僕は何故3日(前代未聞)でメンバーになったのだろう。


当時 、たまたま、偶然に、僕の意思に反して、

他人に(ディアナ)引っ張りこまれアクターズスタジオに見学者として、

連れ込まれたために、この演劇の世界に全く無知であった。


そして、生まれて初めて一女性から強引に、

「ゼン!五分でいいから、川端康成の雪国を演出してくれ」

と強引に頼まれ、

演出のえの字も知らなかったのに、演出させられて、

するとアイデアが止まらず1時間以上になり

スタンディング オーベーションにあったり、

チャック ・ゴードン(脚本家、演出家)がやってきて、

二人で組んで、「ダム、ウエーター」のギャングの役をやり、

ストラスバーグは思わず立ち上がって

「もしここに演出家がいたらゼンは主役だ」

と演技を絶賛されたてたりした。


しかし、メンバーになりたいと思いもしなっかた。


あの時は、何が何だか断る理由も見つからず、

アクターズスタジオの最終試験を受ける事を同意した形になった。


合格して、翌日のクラスで、

ストラスバーグが、メンバーのみんなに紹介したときに、

「ゼンはメンバーになった意義を自覚していないだろう」

と言っていた。


ありがたい、とも思わず、全く何のことか自覚がなかった。


では、他の俳優達が、何年もかけてやっとメンバーになるのに、

なぜ、3日で受かったのだろう。


ここに、声を大にして伝えたいことがある。


ストラスバーグの俳優の基本訓練法の最重要課題を

マスターしていたからだ。


スタニスラフスキーからストラスバーグに受け継がれた

俳優訓練『五感の記憶』を完璧にマスターしていたからだ。


ひとつはは五感の記憶の課題の一つ、

プライベート モーメントである。


舞台に上がって、他人の目をいかにシャッターアウトできるかだ。


このエクササイズは、ストラスバーグの貴重な、偉大なる発見だと思う。


彼は、ひとの目を一切気にしない場所はどこかと考えた。


自分の部屋であると。


頭で考えるのではなく

五感の記憶で自分の部屋を信じられるまで、

徹底して訓練してみようと決心した。


街を歩いている時も何時も自分の部屋と一緒に歩いた経験を思い出す。


この公開の孤独と呼ばれる アプローチは、

自分の人に見せたくない事をメンバーの前で、

やって見れば、成功したかどうか、すぐわかる。


僕はこの訓練の成否を確かめてみたかったために、

素っ裸になってみた。


自分のい部屋だと確信した。

(99パーセント。100パーセントだったら病院行きだ)

なんの抵抗もなかった。


アクターズ スタジオ歴史上、

人の目を一切気にしないで、素っ裸にになれたのは、

僕が初めてだと言われた。


嬉しかったと思う一方、終って恥ずかしいと思った。


ストラスバーグに対する恩返しだ。

(アクターズ・スタジオでは、このような基本的訓練は、一切やらない。彼の個人のクラスのみ)


最終試験の舞台に上がったときに、自分の部屋の黄色い床が見えた。


生まれて初めての最終試験なのに、

何の抵抗もなかった。


おおぜいの審査員が見えているのに、

何の抵抗も無く怒り、悲しみ、挫折感を、

そして、自分の全てをさらけ出すことが出来た。



スタニスラフスキー、ストラスバーグの発見した

偉大なるエクスササイズ のもう一つ最重要なエクササイズは、

『感情の記憶』である。


自分の過去人生で一度か二度体験した悲劇的な感情を(通常40分かかると言われるものを、訓練によって1分までに縮る)思い出す訓練だ。


僕は時間をかけて これもマスターしていた。


メソードアクティングは、感情の記憶とも言われる。


ストラスバーグは言った

「我々の訓練はオールド ハット、

つまり、使い古された帽子だと言われる事もある。

しかし、我々は演劇の本流泳いでいるのだ」


ストラスバーグの40年間、

アクターズスタジオのクラスに一度も遅刻しなかった。


彼の演劇に対する情熱に、

当時を思い出して、熱いものが込み上げてくる。


全15種類ある五感の記憶のエクササイズを、

生徒とともビデオに収録して、

後世に伝えたいと思っている。















NYアクターズ・スタジオ
正会員
ZEN HIRANO

2021年3月16日火曜日

書籍『神との対話』に魅せられて

「人は自分自身のために何かをしているのに、

誰かのためにしているつもりでいることが多い。」


言われてみれば、

これまで長々と投稿してきたエッセイも

自分の為に書いてきた事になる。


本当の意味で自分の為になったかは、疑問。


本当に自分の為になるには、

もっと時間をかけて自分と向き合い、

自分の弱さ、

愚かさをあるがままに受け入れて、

偉大なる存在と向き合い、

心より感謝の気持ちを伝えよう。




NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

2021年3月8日月曜日

書籍『神との対話』より


 ー魂の発達をー選ぶなら、身体の世間的な活動によって達成することはできない。

「行動すること」は身体の働きである。

「在ること」は魂の働きである。


あなたが、人生とは「行動すること」だと考えているなら、自分を理解していない。


魂にとっては、どんな行動をするかではなく、その間どんなふうに在るかが大切だ。魂が追求しているのは、在り方であって、何をしているかではない。


あなたの魂はわたしであり、それを知っている。魂はそれを経験しようと努めている。経験するには、何もしないのが一番いいとゆうことも知っている。何もせずに在るあことだ。


同じように資質をもった二人なのに、一人は成功し、一人は失敗したと言う例だが、それは「していること」のせいではなく、「在り方」のせいだ。

一人は解放的で、親しみ深くて、細やかで、親切で、思いやりがあって、陽気で、自信があって、仕事を楽しんでいる。もう一方は閉鎖的で、よそよそしく、冷たくて、不親切で、陰気で、自分のしていることを嫌っている。


あなたは、身体によって何かを生むために、この地上にいるのではない。魂によって何かを生むために、この地上にいる。身体は魂の道具にすぎない。身体を動かす動力はあなたの精神だ。だから、あなたが地上に持っているのは、魂の欲求に従って創造するための動力機械なのだ。


魂の働きとは、その欲求を示唆することであって、押しつけることではない。精神の働きとは選択肢の中から選択することだ。身体の働きとは選択を行動に?移すことだ。身体、精神、魂が一体となって調和し、ともに創造する時、神が肉体化する。その時魂は自らの体験の中で自らを知る。


わたしは、あなたの世俗的な成功には、感心がない。あなたが感心を持っているだけだ。 あなたが長い期間をかけてあるあり方を達成すれば、世間的に成功しないでいる方がかえって難しいだろう。それは事実だ。だが、あなたは「暮らしをたてる」ことにかかずらうべきではない。真のマスターは、暮らしをたてることでなく、生きることを選んだ人たちだ。


ある種の在り方からは、非常に豊かで充実した、生きがいのある素晴らしい人生が生まれる。そうなったら世間的な財産や成功はどうでもよくなるだろう。人生の皮肉は、世間的な財産や成功に感心がなくなった途端に、それがふんだんに流れ込んでくる道が開けるとゆうことだ。


あなたが成功したいとか金が欲しいといい、そのように行動すると、あなたの考え、言葉、行動がそろって、あなたは確実に、その「欲しい」という状態を経験する。


現実を変えるには、今までのような考え方をやめればいい。この場合、「成功したい」と考えるかわりに、「わたしは成功している」と考えることだ。いよいよわたしは成功するとか。


プラス思考の最高の形は、感謝のことばだ。 「人生で成功させてくれてありがとう。神様」そうゆう考え、思いを口にし、それに従って行動すれば、すばらしい結果を生む。結果が欲しいからそういうのではなく、結果が既に生じていると本当にわかっていて、口にするのであれば、うまくいく。


人生で何かを経験したければ、それを「欲しい」と思ってはいけない。それを選びなさい。生半可な気持ちではなく、思い切って選びなさい。


自分がこの世で考えたり、行ったりした全てをもう一度見直し、自分は何者か、何者になりたいかと言うことに照らし合わせて考えたら、もう一度同じことをするかどうかを判断する機会はあるだろう。


彼らが地上に戻ってきたのは、他の人たちを助けるためだ。それが彼らの喜びなのだ。それが彼らを高揚させるのだ。彼らは奉仕することだけを目指している。


常に多くを求めるというのは、聖なる性質だ。


生活のために、したくないことをして、人生の時間を無駄にしようなどと、どうして考えるのか。


少なくとも、楽しいことをしなさい。それなら、あなたが何者であるかを語ることになるから。そうすれば、少なくとも、ひとを恨んだり、怒りを感じんなくてすむ。


真の秩序の中では、幸せのために何かをするのではない。幸せだから、何かをする。共感するために何かをするのではなく、共感しているから優しい行動をとる。


あなた方には楽しむ権利がある。子供があろうとなかろうと、配偶者がいようといまいと、楽しみを求めなさい。楽しみを見出しなさい。金があっても、なくても、楽しい家庭はできる。もし家族が楽しくなくて出て行こうとしたら、家族が自らの楽しみを求められるよう愛情を持って手放してやりなさい。


あなたのライフワークは「自分が何者であるか」を宣言することである。


誰でも、自分がなぜ、何をしているかを理解すれば、何でも愛することが出来る。


2021年3月6日土曜日

TV番組「アメリカン アイドル」

https://www.google.co.jp/search?q=アメリカン・アイドル+WOWOW&client=safari&hl=ja-jp&prmd=vni&sxsrf=ALeKk00Ii_cNHpx7Hene4uUQaxGoLUoLQA:1598695181927&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwiswbDTk8DrAhVPyYsBHR1oDXEQ_AUoA3oECA4QAw#imgrc=mt6tK98LSlqjpM&imgdii=RtXpbMXVRFwvMM
 

WOWOWのテレビで「アメリカン・アイドル」という番組がある。


3人の経験豊かな現役歌手が審査員で、

才能ある新人歌手を見つけて、

世に送り出そうと全力を挙げて闘っている番組である。


自分達は、現役の歌手なのに私利無欲、

アメリカ全土を駆け回り、才能の発掘に努めている。



僕も教師なので、その気持ちはよくわかる。


生徒が、

思い掛けなく才能を露わにすると敬虔な気持ちになり、

無常の喜びを感じさせられる。


生徒の天より与えられた才能に出くわす場面は

心の何処かに焼きついていて一生忘れる事はない。



才能は、天からの贈り物


ストラスバーグも言っていた。

「才能は我が恋人」と。


このテレビ番組の三人の審査員の、

才能というダイヤモンドの発掘に人生を賭けている姿を

是非、皆さんに観て頂きたいと願っている。


僕は、今回の、この「アメリカン、アイドル」の

それぞれの番組(12回)を6、7回繰り返して見ている。


僕自身、教師として学ぶことが非常に多い。



教師として、

人を育てる仕事は、

妥協しない厳しさと、

生徒それぞれの人生を思いやる優しさが必要となると、

この番組は伝えている。



NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

2021年3月5日金曜日

元・河口湖コミュニティ―生からの手紙


ゼン先生

おはようございます!🌅

ありがとうございます!

日々、生活している中で

ふとつまずく時、

疑問に思う時、

人の意見に不本意に流されそうになる時、

そんな時は決まって

「コミュニティ時代」に

先生方に教わった教えや

仲間たちとの生活から学んだこと、

体感したこと、

そこに自然と行き着き、

自分の中の信念に立ち戻っています。

コミュニティで

過ごさせて頂きました日々は

私の大きな財産です。

改めて、

本当にお世話になりました。

SS✨

 

2021年3月4日木曜日

本「神との対話」より

 神)

人間の考え、言葉、行為のすべては、

どちらかの感情がもとになっている。

ほかの選択の余地はない。 

不安か? 愛か?ど

ちらを選ぶかは、自由に決められる。


著者) 

簡単な事のようにおっしゃいますが、

決断しようとすると、不安が勝ってしまう方がおおいですよね。

それはなぜなのですか?


神)

不安を抱えて生きるように教えられているからだ。

あなたがたは適者生存、

いちばん強い者が勝利を得る、

いちばん利口な者が成功すると

聞かされてきた。

いちばん愛らしい者の栄光については

ごくわずかしか語られない。

だからーいろいろな方法でー

あなたがたは適者になろう、

いちばん強くなろう、

利口になろうと必死になり、

どんな状況でも、

少しでも劣っていれば負けてしまうと言う不安に怯える。

子供の頃からずっと、劣った者が負けると、

言い聞かされてきたためだ。

あなたがたは、もちろん不安にさせられた行動を選択する。

そう教えられてきたからだ。

だが、教えてあげよう。

愛に支えられた行動をとれば、

生き延びるだけではなく、

勝利するだけではなく、

成功するだけではなく、

それ以上のことができる。

そのとき、自分は本当は何者か、

そして何者になり得るかと言う、

栄光に包まれた経験ができるだろう。


(サンマー出版『神との対話』NO、1   p34)









NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN HIRANO

2021年3月3日水曜日

最終試験 体験談

 世界の名門

ニューヨーク 

ザ・アクターズスタジオの

最終試験 

体験談  


~五感の記憶の訓練の必要性について~


人間は、死力を尽し全力で何かに立ち向かった時、神からの授けもの、インスピレーションがやって来るのだと思う。

インスピレーションと云えば、私ごとになるが、昔ニューヨークに住んでいた頃の話。

僕の演出、演技を買われ、ザ・アクターズスタジオのオフィスから、突然、最終試験を受けるように言われた。

最終試験に招待される俳優は滅多になく、スタジオの永い歴史上、無名の俳優が合格したのは僕以外、皆無だと言われる。

普通、最終試験にたどり着くのに4,5年掛かる。

アル・パチイノーやデ・ニーロもメンバーになるのに、4,5年かかっているし、ハーヴェイ・カイテルは10年かかったと、自分で言っている。

ストラスバーグは、彼たちが、毎年受けるたびに演技力を向上させて言ったと言っていた。

それなのに、冗談でなく、僕の場合は、試験日の3日前。

(これまでに、スタジオで僕の演出と演技を高く評価されたのが要因だと思う。当時、年間1,000人以上の受験者の内、最終試験の合格者は年間にわずか数人)

YES、と言って、無謀にも一歩前に出た。

相手役には、当時の雑誌の表紙に、彼女の美しさは心の美しさと紹介された北欧の美人アルバが、協力してくれた。

(スタジオには美人が少ない。一切容姿で取らない。)

そして、雨続きの3日間のリハーサルは無残。

何1つ掴めないまま過ぎてしまった。

当日、僕は、不安から試験の5、6時間前に行ってしまい、スタジオの片隅でジット蹲っていた。

アルバが巫女のように僕の前に立ちはばかり、興奮した他の俳優達が僕に話し掛けるのを防いでくれた。

無味乾燥な時間が刻々と過ぎて行った。

徹底して追い詰められた。

どうしても役に入る糸口が見つからなかった。

苦しかった。

その時ふと、ある考えが浮かんだ。

「僕は、何故、ここで、こんなに苦しんで待っているのだろう。勿論試験を受ける為だ。しかし、僕の演じる役は、何故、こんなに苦しんで待っているのだろう?」

と。

そこから、インスピレーションがひらめき、想像力に火がついた。

僕が、演じる役は、映画『さよなら』からの俳優の役だ。

この、ひらめきから、徐々に役の世界にもぐりこんで行って、自分と役がひとつになって行った。

役の人間、つまり僕は、先週、これが芸術のあるべき真の姿だと確信して、新しい形を舞台で精一杯表現した。

しかし、上司達は其れが気に入らなかったらしい。

今日は給料日、上司は(審査員)は、一人一人名前を呼び、呼ばれた者は、2階のホールに上がって行く。

ほーら、又一人降りてきて,また一人呼ばれて上に上がっていく。

僕は幹部俳優なのを知っているのに、彼らは延々と僕を待たしている。

4時間も、5時間もだ!

役の人間としても、僕自身としても、こんな所に1分も居られない。

ドアーを蹴破って出ていって二度と戻る気はない!  

想像力は僕を、役の世界に引きずり込んで行く。

しかし、今、妻が病気で入院している。

今日どうしてもお金を持っていかなければ!

僕の想像力は、高く、遠く羽ばたいていった。

その当時までには、かなりの演技力を体得していて、一生に一度か二度しか体験した事のない、深い悲しみの感情を、五感の記憶の訓練で、意識的にこの場で起させることが、出来るようになっていた。

エクササイズの中でNO、1「感情の記憶の訓練」

その事件に集中し始めると、 日ごろの訓練のお陰で、一生に一度体験した悲劇的な事件に注意を向けると、直ぐさま強烈な感情がやってきた。

( 前々からストラスバーグに、ゼンは 非常に強い感情を持っていると、指摘されていた。僕が怒りを爆発させると、7、8人の屈強な男たちが舞台の外へ逃げて行くのをこれまでに何度も経験していた。不思議に思った。俳優は命なんか要らないやと思わなければ相手を動かせないと思っている。)

そして、その感情は訓練のお陰で即、やってきた。

その、一生に一度か二度、実生活で経験した煮えたぎる感情を確かめる為に、ふっと息を吐くと胸が焼け、ドラゴンが火を噴いているようだ。

(この感情の記憶の訓練は、メソード演技の最重要課題と言われ、はじめは、この強烈な感情がやってくるのに、1時間程掛かるが、それを3分以内に起こるよう訓練する。)

普通このような激情をキープできるのは15分だと言われる。

しかし、僕の名前が呼ばれるまで、30分以上待たなければならない。

苦しかった。

感情が消えてしまわないようじっと耐えつづけた。

この感情がいまだに、燃えたぎっているかどうかを確かめるため、時々、唇をすぼめふーと吹いてみた。

大丈夫だ !

涙がこぼれる。

名前を呼ばれ階段を駆け上がった。

「ゼン・ヒラノ」と叫んだのを今も記憶している。

想像のドアを両手で横に押しひらくと、ニューヨークの僕のアパートの黄色味がかった床が見え、誰一人いない自分の部屋だと確信した。

エクササイズ「プライベイト モーメント」と云う訓練のお陰で、審査員を前にしても、自分以外に誰もいないと云う感覚がやってきた。

想像のドアを閉めた。

想像の自分の部屋で一人きりになり、深い孤独感に襲われた。

この数時間、一階の部屋の片隅で、胸に溜め込んだ怒り、悲しみ、挫折感を、着ているものを剥ぎ取って、叫び声と共に、床に叩きつけて強烈な感情を一気に吐き出した。

腸のあたりに激痛が走って、体が静かに床に沈んでいった。

動けない。

( この痛みはその後一週間続いた。)

激痛で動けない。

あゝ、これで、試験は終わったなと静かに思った。

しかし、その時、スタニスラフスキーの言葉が脳裏に閃いた。

「舞台は演ずるために行くのではない。戦うために行くのだ!」

と。

また、ストラスバーグは、

「怖いと思ったら一歩前に出ろ!  それがゴーサインだ。」

と。

痛みに耐え、全身の力を込めてユックリと立ち上がった。

天が与えてくれたインスピレーションの大波の真っ只中に、身を置いていた。

たとえ一万人の競争相手がいたとしても僕がトップだと確信した。

このようなインスピレーションがやってくると、不思議な意識の分裂を経験する。

夢中になって演技している役の自分と、それを何処か高いところで見守っている自分がいる。

後者の自分が

「ゼン・お前のダンスで鍛えた美しい身体を使って、想像した鏡の前に立ち、ダイナミックなポーズを見せてやれ!  これがアートだと叫んで審査員達を喜ばせてやれ!  彼等は芸術が大好きだから。」

「ゼン、次は机の所に飛んで行け。拳を固めて叩いて挫折感を演じろ。彼等は又、採点するぞ。」

役の自分は、全力をあげて、役の人生を誠実に、真剣に生きているのに。

生まれて初めて、不思議な意識の分裂を経験した。

挫折してぶざまに、醜態をさらけ出し、ボロボロになった男を、いつのまにか、戸口に立った北欧の美女が静かにジーとこちらを見ている。

又、審査員の同情を買って採点されている。

涙を誤魔化す為、隈取り用のハンカチを探したが、係りが、置き場所間違えた為、僕は実際に、必死になって探した。

舞台で実生活と同じレベルで行動できるのは稀なる幸運だ。

又、採点される。

夢中に刻々と真剣に役を演じながら、同時にどこで審査員が、採点するかをすべて知っていた。

「ゼン、サンキュー」

の声がして演技を終えた。

十人あまりの審査員が、こちらを見ている。

戦いは終わった。

何か、とめどなく悲しい気持ちがした。

どんなオーディションも二度と受けないと思った。

待合室に降りて行くと、二人ほど審査員が興奮気味に駆け下りてきて、「もう少し待っていれば、ストラスバーグから直接話があるだろう」

と言われた。

しかし、僕は、荷物をまとめ、何か、もの悲しい気持ちで、ひとり暗闇のニューヨークの街に消えて行ったことを今でも記憶している。

そして、僕は教師の道を選んだ。

いま、考えるとメンバーになったことで、大きく人生の方向が変わって行った。

怖いとと思ったら一歩前に出よう!  

それがGOサインだ。

それがあなたの人生を変える。

今回、ここでみんなに伝えたいのは、千人に一人の最終試験で何故3日で合格したかである。

当時 、たまたま、偶然に、僕の意思に反して、他人に引っ張りこまれ、アクターズスタジオに見学者として、連れ込まれた。

演劇の世界に全く無知であった。

そして、生まれて初めて一女性から「ゼン!五分でいいから、雪国を演出してくれ」と強引に頼まれ、演出のえの字も知らなかったのに、演出させられて、今度は、アイディアが止まらず1時間以上になりアクターズスタジオでは皆無のスタンディング オーベーションにあったり、当時、著名なチャック ・ゴードンが、やってきて、二人で組んで、「ダム、ウエーター」のギャングの役をやり、演技を絶賛されてたりした。

しかし、メンバーになりたいと思いもしなっかた。

あの時は、何が何だか断る理由も見つからず、アクターズスタジオの最終試験を受ける事を同意した形になった。

合格して、翌日のクラスで、ストラスバーグが、僕をメンバーのみんなに紹介したときに、

「ゼンはメンバーになった意義を自覚していないだろう」

と言っていた。

ありがたいとも思わず、全く何のことか自覚がなかった。

では、他の俳優達が、何年もかけてやっとメンバーになるのに、なぜ、3日で受かったのだろう。

ここに、声を大にして伝えたいことがある。

ストラスバーグの俳優の基本訓練法の最重要課題をマスターしていたからだ。

スタニスラフスキーからストラスバーグに受け継がれた俳優訓練『五感の記憶』を1年間で完璧にマスターしていたからだ。

ひとつは五感の記憶の重要課題の一つに、「プライベート モーメント」である。

舞台に上がって、他人の目をいかにシャッターアウトできるかだ。

このエクササイズは、ストラスバーグの貴重な、偉大なる発見だと思う。

彼は、ひとの目を一切気にしない場所はどこかと考えた。

自分の部屋であると。

頭で考えるのではなく五感の記憶で自分の部屋を信じられるまで、徹底して訓練してみようと決心した。

街を歩いている時も「オートバイで大陸横断している時も」何時も自分の部屋と一緒にいた経験を思い出す。

この公開の孤独と呼ばれる アプローチは、自分の人に見せたくない事を人の前で、やってみれば、成功したかどうか、すぐわかる。

僕はこの訓練の成否をアクターズスタジオのメンバーの前で確かめてみたかったために、素っ裸になってみた。

自分の部屋だと確信した。

(99パーセント。100パーセントだったら病院行きだ)

なんの抵抗もなかった。

アクターズ スタジオ歴史上、素っ裸にになれたのは、僕が初めてだと言われた。

嬉しかったと思う一方、終って恥ずかしいと思った。

でも僕は芸術に身を捧げている。

ストラスバーグに対する恩返しだ。

(アクターズ・スタジオでは、このような基本的訓練は、一切やらない。彼の個人のクラスのみ)

最終試験の舞台に上がったときに、自分の部屋の黄色い床が見え、生まれて初めての最終試験なのに、何の抵抗もなかった。

大勢の審査員が見えているのに、何の抵抗も無く怒り、悲しみ、挫折感を、そして、自分の全てをさらけ出すことが出来た。

スタニスラフスキー、ストラスバーグの発見したもう一つ最重要なエクササイズは、「感情の記憶」である。

自分の過去人生で一度か二度体験した悲劇的な感情を(通常40分かかると言われるものを、訓練によって1分までに縮る)思い出す訓練だ。

僕は時間をかけて これもマスターしていた。

メソードアクティングは、感情の記憶とも言われる。

ストラスバーグは言った。

「我々の訓練はオールド ハット、つまり、使い古された帽子だと言われる事もある。しかし、我々は演劇の本流泳いでいるのだ。」

ストラスバーグは40年間、アクターズスタジオのクラスに一度も遅刻しなかった。

彼の演劇に対する情熱に、当時を思い出して、熱いものが込み上げてくる。






NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO



全15種類ある五感の記憶のエクササイズを、ミユキとともにビデオに収録して、後世に伝えたいと思っている。

2021年3月2日火曜日

俳優を目指す若者たちに

映画「我が大草原の母」


せキュレタリーが

「よければ、最近見た素晴らしい役者の演技とかをお話しして見たらどうでしょうか?」

と言ってきた。


考えてまたが、質問の答えになるか、どうかは別として、

僕が一番心を打たれる映画は、

モンゴルの低予算の映画「我が大草原の母」だ。


飢餓に苦しむ両親の子供を引き取って、

愛情の全てを注ぎ込み孤児を育て上げる物語です。


無償の愛ほど美しいものは、この世には無い。


評論家は2つ星。

僕は5つ星。


人々が望むものは、

真の愛の物語、貧しい環境と戦って愛の全てを注ぎ込む母性の物語。



次に、心打たれるのは、

「ガンジー」「リンカーン」「チャーチル」を演じた3人の俳優たち。


これら、有名人を演じるには、大変な努力を要求される。


誰もが知っている人物の歩き方から話し方、考え方、

そして彼達の情熱を自分のものにしなければならない。


誰もが知っている有名人で誤魔化しは効かない。


ガンジーを演じたベン・キングスレーは、

あまりの生き写しにガンジーの再来だと言われ、

人々が拝みにきたと言われる。


スゴイ!


3人ともアカデミー主演男優賞を取っているはずだ。


才能ある俳優たちが、大変な努力をしているのに、

何もしないで、俳優だと言っている連中は、どこかおかしい。


人生を無駄にしている。



僕の若き俳優たちへの提言は、

アカデミー賞を貰った俳優たちの演技を繰り返し繰り返し観ることだ。


演技の真実に対する感覚を自分と向き合って育てる以外に方法はない。


一つ言える事は、

才能があっても努力が無ければものにならないし、

努力があっても才能が無ければものにならない。


あなたに取って大切だと思う事は、

美と真実を求めて全力を尽くし若い命を燃やす事だ。


必ず、自分の歩むべき道が見つかるはずだと確信している。  





   







NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO

2021年3月1日月曜日

俳優を目指す若者たちに

俳優を目指す若者達の多くが、

どれがいい演技か、わからない人が多い。


マーロン・ブランドが出始めた頃、

多くの教師や俳優達が

「あれは、地で行ってる」

とか言って、

彼の卓越した演技力を認められなかった人達が多かった。


(現在、故マーロン・ブランドを超す俳優は誰1人いない。)



「なんでも鑑定団」とか言うTV番組がある。


出品者は100万円と予想した品物が

3万円だとと言われたりする。



多くの俳優達は、

本物の演技か、偽物の演技か区別がつかない。


一流の俳優達は、自分自身の真実に対する感覚が鋭い。


みんなが、ブラボーと拍手するが、

じっと考えて、もう一度撮り直してくれと要求したりする。


多くの俳優達は、偽物を摑まされて、喜んでいるかも知れない。


骨董屋に丁稚奉公にいくと、

主人は本人に超一流のものしか見せないと言われる。


偽物を摑まされたら商売にならない。


僕の提言は、

あなた達俳優は、

真実に対する感覚を養う為に、

アカデミー賞の男優賞、女優賞のみの演技を見て、

他の演技は無視する事だと思っている。


1年間続けたら、

真実に対する感覚が養われ、

偽物を摑まされて喜んだりする事がなくなる。



俳優訓練とは、

この真実に対する感覚感覚をより高いレベルに磨き上げる仕事だ。


たとえ、あなたが俳優にならなくても、

この真実に対する感覚は、

あなたの人生を豊かにすると確信している。


現場で、OKが出たと喜んでいたら、

俳優芸術の、想像の世界に生きる喜びは体験できない。


若き俳優達に伝えたい事は山ほどあるが、

僕の、右手の中指でキーボードを打っていては限界がある。









NY ザ アクターズ・スタジオ

正会員

ZEN  HIRANO