2019年8月23日金曜日

心に残る映画



今まで、アカデミー賞をはじめ、評判になった殆ど全部の映画を観てきた。

その中で、真に、心に残る二つ映画がある。

マーロン・ブランドでもなく、アル・パチーノでもなく、アカデミー受賞者でもない。



先ず一つは
『あなた、その川を渡らないで 』


夫婦愛の物語だ。


(韓国のドキュメンタリー映画)

人間の理想の生き方は、名誉、名声、富でも無く、愛だと確信させられる。


年老いた夫婦が寄り添い助け合って生きていく姿は、人間の真の生き方だと思わされる。


こうして思い出しただけでも、涙もろい僕は、涙が止まらない。




もう一つは中国の映画
『大草原の母』だ。

女性の凄さ、軀の何処かに秘められた泉から、とうとうと溢れてやまない、愛の流れ、豊かさ、好き嫌いを超えた、このような、神の領域の愛って一体なんだろう?



演出、演技、作品の構成等で莫大な費用をかけ話題になる映画は多いが、上記の二本の作品ほど、深くに入り込んで来て無条件に、心を感動させ、打ちのめされた気分になる作品は数少ない。

感謝


ZEN




天国の言葉





天国言葉(斉藤一人) 1000日言葉
愛しています。
ついている。
楽しい 、感謝しています。
幸せありがとう。
許します。

斉藤さんの1000日言葉をアレンジしてみた。
ついてる、ついてる、ついている!
楽しい、嬉しい、幸せいっぱい!
感謝 、感激雨あられ!
サンキュー、サンキューありがとう!
この世の全てを許して、受け入れて!
愛の翼を広げていっぱいに、
大空高く舞い上がる!

ある日、ワイフみゆきが、斎藤一人さんと云う人が、こんなことを言っていると僕の書斎に告げに来た。


みゆきの一言を聞いて紛れなく、この人はメッセンジャーだと直感した。


斉藤さんは、メッセンジャー(神の使い)で有り、コメディアンで有り、商人で 天才だ。


(それ以後彼の本を読んでいないが、瞬間的に彼のことを全て理解したと思っている。斉藤さんの神からのメッセージを非常にわかりやすく、ある時はジョークまじりに人を笑わせ、我々庶民に伝えてくれる不思議な存在。)


斉藤さんのメッセージの内容(天国言葉)はその場で、歌にしやすく、みんなで輪になって気軽に踊り、行進行進するようにしてみたら。


みんなで心を一つにして、歌って踊って行進すれば、天国言葉が大きな花を咲かせると思っている。
(でも、もしかしたら不必要かも?)
『神との対話』を20年以上、毎日読んでいるので、斉藤さんは、 メッセンジャー、それも型破りの神の使いだと信じている。

ZEN

「微笑み」について





最近こんなメールのやり取りが有りました。

dear M
「貴重な文章をありがとう。この二、三日どうしたら本当の微笑みを身に付けられるようになるだろうかと考えています。心の底から湧いてくるような微笑み、自分のみならず、人の心を明るく和ませるような微笑みを身に付けたいと願っています。日々出会う全ての人、物事に感謝し、ありがとうと心の中を響かせたいと願っています。」
ゼン



Mが、とても大切にしている誰かのエッセイを何年ぶりかで送って来てくれたので上記の返事を書いた。



そして、その返信がまた、Mから届いた。



「ゼン先生、本当の微笑み?考える前にすでに湧き上がってくるものではと考えますけれど。」

この彼女の返信で思い出したことがある。



30年以上になるが、京都に真珠庵と云うお寺がある。


一般の人は入れない。姉のツテで、来日していた恩師ストラスバーグと姉とともに、高僧と国宝に囲まれた一室で、御茶を楽しむことができた。

高僧はにこやかに言った。


「このお茶碗は300年前のものです」
と。




そして、ストラスバーグは言った。


「もし、飲む前に云われたら、断っただろうし、飲んでる時に云われたら、ビックリして落としてしまったかも知れない。飲み終わった後で良かった」
と。

終始和やかで、ゆったりと、素晴らしい時間を味わうことができた。

ここで僕が言いたいのは、どのくらい修行を積んだか知らないが、その高僧の天性と思われる姿勢の美しさ、慈悲に満ちた優しい「微笑み」


今も脳裏に鮮明に焼き付いている。



dear M
「 僕が求める微笑みとは、赤子のような無垢な、そして、高僧のような聖なる微笑みです。あなたの云うように求めたら、手に入らないかも知れませんね? 持っていることに気づく事かも。この次、あなたの微笑みに、お会いできるのを楽しみにしています。」



ZEN



感情の開放について










恩師ストラスバーグ言っていた。

「我々の演技訓練は、オールドハット(時代遅れ)と言われているかも知れない。しかし、我々の俳優は演劇の本流を泳いでいる」
と。




ストラスバーグは、世界のあらゆる分野に影響を与えた偉大なるスタニスラフスキーシステムを徹底して研究し、当時のアメリカの演劇の世界に活用できるものをピックアップし、具体的に実行に移していった。

現在、若者で、スターを夢見るものは後を立たない。


スターの要素は、多くの場合、美貌と感受性、人を惹きつける強い個性、演技術に対する最大限の努力、そして人間関係をうまく渡りあっていく能力だと思う。


(マリリン・モンローは、彼女の最盛期に一年間仕事を辞めて、アクターズ・スタジオに学びに来た)

俳優の仕事とは、そして俳優の真の喜びとは、役の世界にはまり込んで、想像の世界に生きる事だ。

想像の世界に生きることが大好きだったら、たとえ3,4人でもグループをこしらえ、創作活動を続けることは、素晴らしい事だと思っている。

想像の世界に生きられなかったら、俳優とは言えないし、俳優としての喜びはない。

僕は、俳優訓練の目的を、先ず第一に、今までの社会生活で溜め込んだ不必要な偏見、恐れ、不安を吐き出し、自分自身を子供のように白紙に戻し、自分らしさを取り戻す事だと思って実行している。

( 俳優訓練は、子供になる訓練だと言われる。)

その人が、長年無意識に溜め込んだ否定的な感情(怒り、憎しみ、嫉妬心、恐れ)等々をを頭のガードをとって、体を緩め、動かし、投げ出し(駄々っ子のように)大声を出して外に吐き出せば、天から与えられたあなた本来の美しい姿を見せることになる。

必要に応じて、どんな感情も自分の意思に従って自由に表現出来れば俳優として大きく一歩踏み出したことになる。

我々はこの訓練を感情の解放といっているが、それぞれの自分に対する認識の高まりに応じて実践している。

そして、あなたは本当の自分自身と出逢うことになる。

俳優としてのみならず、この人生を自分らしく生きていくことになると確信している。




ZEN

役のアプローチについて





人間は、常に考えた事を話す。

又は、感じた事を話す。

ほとんどの俳優は台本で記憶した事を話す。

それではとてもトップクラスにはなれない。


我々NYアクターズ・スタジオの連中は、台本の読み合わせは殆どやらない。

まず始めに、その戯曲のその一場面で何が起きたかを理解するためにリハーサルをやる。

台本に書かれたセリフは殆ど無視する。

その場面で何が起きたかを理解し、実感するまで徹底して追求する。

(それをインプロビゼーションという。)

実感するまで自分の話し方で進めていく。

その間、その役の性格、考え,、動作、話し方等々を身に付けていく。

それから作家の台本に入る。

セリフは、覚えたら完全に忘れるようにする。

自分のセリフは、相手役のセリフで思い出すことにする。

人生に限りなく近づいて行く努力をする。

相手役が話している時に、次の自分のセリフを思い出そうともがいていたら、とてもトップクラスにはなれない。


考えられれば生きられると言われる。

俳優訓練とは、いわゆる俳優が人間になる事だと言われる。


僕が進める演技の練習は、先ず始めに、自分が、良く知った身近に感じる台本を選んでもらう。

それが出来なかったら、自分の良く知らない生活 シェークスピア、チェーホフばとても無理。

以上はプロの俳優の話をしているので、それとは全く違って、自分たち仲間で みんなで盛り上げて勝手気儘に出し物を決めて、子どもやおばあちゃんを喜ばせるのも素晴らしと思っています。


ZEN

2019年8月18日日曜日

俳優を目指す人たちのアルバイトについて



もし、あなたが俳優やダンサーを目指すなら、ウエイーターやウエイトレスをして、レッスン費や生活費を稼いだらいいと思う。

僕も昔ニューヨークで、ウエイターをやって、生活していた時期があった。

アメリカのウエイターは、当時、時給1時間100円。
あとは、チップで稼ぐことになっていた。

自分の受け持ちのテーブルも決まっていて、お客に最善を尽くし、いつもニコニコ。
より良いサービスを提供して少しでも多めのチップを置いてもらえるよう努力し、その足でレッスン場に駆けつけた。

我々は、エンターテイナー。

どんなに忙しくても、いつでも笑顔を絶やさず、最善の努力を尽くしてサービスを提供して、お客様に喜んで帰って頂く。

舞台でも同じこと。

自分の価値観を認めさせようなどはもっての他。

舞台では、お客様に、今日の公演は楽しかった 、感動したと言わしめないと。

観客は自分の寿命を使って来てくれるのだから。

俳優を目指す者にとってウエイター、ウエイトレスとして、レストランで働くことは 、サービス精神を養い、気づきを向上させ、スピードアップの能力を勝ち取り、観客が何を望んでいるかを察する能力を向上させる場を与えると思っている。

我々俳優の務めは人々を喜ばせることだから。

スタニスラフスキーは言っている。
「我々俳優は、まずエンターテイナーであるべきだと。」

ZEN

表現力

表現力というと何か?

ジェスチャーをしたり、表情を作ったりするように考えるかもしれないが、真の表現力は、眼に現れる。

眼は魂の窓と言われるから。

身体を完璧にリラックスさせ、深い想いに浸り込めば、衝動は自然のコースを通り目に表れ観客を引き摺り込む事が出来る。

最近観た映画 ジュリア・ロバーツ主演の「ワンダー 君は太陽」で彼女の娘として、17,8才のイサベラ・ヴィドヴィツチ(初めての映画出演、そして殆どの出番がない)が、突然の代役で主役を務め舞台で2,3分のモノローグをのべるシーンがある。

ただ、立ったままで殆どの身体を動かさない。

天性の恵まれた想像力と表現力、彼女は将来必ず、アカデミー賞を取ると思っている。

深い感情は、身体の何処にも邪魔されずに眼に現われると言われる。

リラックスと集中力を鍛え、役の人生を深く理解して表現し、生きられれば,役者冥利に…

ZEN


想像の世界を信じるには


五感の記憶の訓練は、頭で知っている事を肌で感じ取る訓練です。

この訓練は出来させようとすると、できません。

出来ても、出来なくてもいいやという態度で臨むことが要求されます。

例えば、エクササイズ「お風呂」をやる上で、最初に想像で衣服を脱いでいきます。
下着を脱いで、裸になった感覚をつかむ為に、想像の下着を何回もアップ、ダウンさせ、裸になった、体に直接空気を感じたら、次にパンツを脱いでいく。
何回も想像の下着をアップ、ダウンさせながら素っ裸になったと肌で感じるまで繰り返す。

想像で、肌で、裸になったと信じることが出来たら、次に湯船に想像でゆっくりと入っていきます。

時間をかけることです。

頭で考えるのではなく、

肌で感じとるのです。

想像の世界に入り込み、想像の世界に生きる為の訓練です。

なぜ、五感の記憶の訓練が必要か?

それは、想像の世界に入り込み信じる為です。

訓練の基本的な態度は、
①時間を取ること
②途中で辞めないでたっぷりと時間をかけ続けること。


出来るようになったら、一歩踏み出し、新たな可能性を求めること。


プロの訓練です。

出来たような振りをしないで、体験する。

体験の芸術です。

ZEN

感情の開放について


殆どの人が、自分の過去に身に付けた抑圧された感情を一生持ち続ける。

嫉妬心、劣等感、罪悪感、怒り等々負の感情である。

幼い子供は全ての感情をあるがままに表現する。

俳優はどんな感情も表現する事を要求される。

大人になっていく過程において社会生活に順応させる為に、これらの感情を抑圧する。

それが習慣となり、特に演技で必要な時に真の感情を出せない為に、感じたふりをする。

俳優は自分の持つ全ての感情を与えられた役のために使う事を要求される。

多くの俳優は抑圧された感情を出す事ができない。

そこで感じたふりをする。

それでは、トップクラスの俳優にはなれない。

この問題を解決する為に感情の解放の訓練がある。

その俳優が、自分自身に対する認識が高まった時にこの訓練に入る。

この感情の解放を、いつ、どのようにやるかは、一人一人の性格や認識の程度を見極めて、実行する。

本人の防衛姿勢をとらせない為に、突然に実行する。

大抵2,3分で終わる。

この感情の解放の訓練の効果には、いつも驚かされる。

それぞれの人が自分の本来の姿を現わす。

感動する。

ZEN


この感情の解放の訓練を取り入れた動機は、アーサー .ヤーノフの本『原初の叫び』に深く感銘して、自分なりのエクササイズを考案した。

本来の自分自身に立ち還る事に、俳優のみならず一般社会人に、大きく貢献していると確信している。

ZEN

抑圧された感情

人間は 、誰しも今までにしまい込んで外に表せなかった抑圧された感情を持っている。

俳優は自分自身の身体のどこかに意識的にも無意識的にも、人生で抑え込んでいる感情を 持ち続けている。

俳優はどんな感情(怒り、憎しみ、嫉妬心等々)をも、演じるのではなく、表現出来なければならない。

役の感情など何処にも落ちていない。

本物の演技をしたかったら自分の感情を使うしかない。

トップになる為には、嫉妬心、殺意 、愛、不信感等々、様々な感情、普段見せたくない感情を、決められた時間と場所で、役を演じるのではなく、体験する事を要求される。

よって体験の芸術と言われる。

上記の感情の解放の訓練は、教師が前々から個々の俳優のチャンスをねらって、

本物の俳優を育てる為に、周到に用意し、実践すべきだと思う。


ZEN


指導のアプローチ



僕はミユキとともに長い間俳優訓練に携わって来た。

我々二人の教え方に根本的な相違がある。

例えば 、泳げない人に泳ぎを教えるのに、僕は、その人をプールに投げ込んでしまう。
自分の力で泳ぎを覚える方法をとる。

一方ミユキは、本人を安心させて水辺に手招きして引き寄せる。
「ほーら、こっちへ来てごらん。足を水に浸してごらん! 冷たくて気持ちいいでしょう。もうちょとこっちへ来てごらん。膝まで水に浸してこらん ! 怖くないでしょー。よく出来たね! えらいね!」
等々、 水に対する恐怖心を取り払って泳げるようにする。


ミユキのアプローチは、今 大変受け容れられ成功している。


僕のやり方だと意思の力や、チャレンジ精神を養う事が出来るようになるが 、たまに、二度と水に近づかなくなる危険性もある。


ミユキのアプローチは、今、実際に受講生に、素晴らしい効果を上げている。


僕とともに30年間のメソードアクティング の経験を通して 培ったものを、彼女固有の演技訓練を確立し、そのシステムを実際にクラスや、又出版を通して人々に貢献して欲しいと切に願っています。


ZEN


好転させる言葉

楽しい!楽しい!嬉しいな。
サンキューサンキューありがとう!
心が踊って舞い上がる。
ついてる!つい てる!全てがついてる。
いけいけ!いけいけ!どこまでも。
すごいな!すごいな!よく出来た。感謝感激雨あられ!
世界は優しく、美しく、いつも綺麗で、幸せいっぱい。
優しく、嬉しく、楽しいな!
とっても、とってもいい気分!
体が踊っていい気分!心が踊っていい気分!
人生はホップ、ステップ、ジャーンプして、みんなで行こう星の彼方まで。
良かった!良かった!万々歳。やったぞ、やったぞ万々歳。
気分は晴れやか、胸踊る!
今日も1日楽しく過ごそう笑顔を持って!
日が昇り 鳥が鳴き、花が咲く。
ああなんて楽しく幸せなんだ! OK、OK受け容れた!僕の魂が受け容れた。
高く、高く舞い上がれ!虹の彼方に。
やった、やった御目出度う!
喜びいっぱい、楽しさいっぱい!
私のハートは、いつ、いつまでも青春、青春、毎日、青春!
今日も地球が回ってる、私もクルクル全回転!
太陽がやって来て光を解き放して、全てを明るみにさらけ出し、去って行く。
星が輝き満天に 、私の心も輝いている、きらきら、きらきら、きらきらと!
私の胸の奥深く声がする。
頭に聞くな、胸に聞け!
怖いと思ったら、一歩前にでろ!
高く、高く舞い上がれ!舞上がれ!想像の世界に。
愛に生きろと天からのメッセージ。与えられたこの命、美しい花を咲かせよう!
愛している!愛している!愛の花を咲かせよう。


。゚•┈୨♡୧┈•゚。

昨日この早口言葉を考えて作ってみました。

バーバラ・バーガーの『なりたい自分になる一番いい方法』という本に刺激されたからです。

言葉は魂、何回も何回も言いつづけて 、 この肯定的な言葉を(否定的な言葉は日常生活で一切口にしない)魂に染み込ませれば、あなたの生活は上向きになり、欲しい物は手に入ると書かれています。

不安や否定的な考え、そして、やさしさ、思い遣りの欠如等々が 、あなたの状態を今の位置に留めます。

方法として、一度早口言葉の意味を考えたら 、後はやみくもに、言葉を口にすればい良い のです。

(1分以内を目指して)

早口言葉の訓練ですから必ず二つのことが要求されます。

「できるだけ速く」そして「明確」に。

なんでも真剣に打ち込んでやれば天からの想わぬ贈り物を受け取ることになります。

ZEN




マイケル・チェーホフ心理身体的訓練について №2


前回に続く・・・

僕がマイケル・チェーホフ を知ったのは約30年ほど前。

ストラスバーグが、実際に彼の舞台を見て絶賛していた。

彼の役への変身ぶりは、驚嘆に値すると言われた。

人々は役によってあまりの変身ぶりに、本人の素顔が分からないと言われた。

マイケル・チェーホフのことを紹介されたのは、当時、ニューヨーク大学の演劇科の教授メル ・ゴードン(僕の訳で彼の本『演技エクサイズ306』が出版されている。)

メル・ゴードンと一緒にニューヨークのマイケル・チェーホフの学校を見に行った。

(マイケル・チェーホフの没後30年)

教師達は人間的に素晴らしい人たちなのに 、その訓練に二人ともなんの感銘も受けなかった。

マイケル・チェーホフは、言っている。
「ディアドル・デュプレイは、私のかつての生徒であり、このメソードを教える資格のある教師である。」
と。

そのディアドルが、僕の資質を見込んで、個人レッスンを申し出てくれた。

彼女は当時80歳を過ぎていたが、郊外に住んでいて、駅まで車を運転して、ニューヨークまで汽車を乗り継いで 来て、3回程無料で教えてくれた。

きっと、彼女は、僕がマイケル・チェーホフのシステムを広げてくれると期待したのだと思う。

今でも、ハッキリと記憶しているが 、彼女が右肘をピアノに置き、波のように動かした。

異次元の軽やかさ。一瞬だったが、これがマイケル.チェーホフだと直感した。

その後、僕は、マイケル・チェーホフの『演技者へ』の翻訳本を出版し、徹底して彼のメソードをひとり、孤独と向き合い何年もかけてマスターした。

ディアドルが示したあの美しい動きを僕はいつでもデモンストレーションする事が出来る。


ZEN

マイケル・チェーホフの心理身体的訓練について

僕は静岡生まれ。
温暖な気候、豊かな土地、温泉、富士山に恵まれて、生まれてみんな幸せいっぱい。
よって有名人はあまり出ていない。

僕は呉服屋の生まれで長男。
でもなんとか飛び出して、日大の芸術学部に入学し、半年で退学。

でも一年ほど顔を出してバレーやダンスをやった。

みんなに、棒杭のようでみっともないと言われた。

なんかのキッカケで、元藤明子の教室に通って創作舞踊を習った。

5,6人の当時かなり名の売れていた舞踏家達と目黒公会堂でジョイントリサイタルに参加した。

僕の創作舞踊がセンセイションを起こし、あまり強烈な印象を与えたために何人か席を立って出て行った。

元藤明子が
「ゼンさん、あと2回やれば、日本で有名になるわよ」
と言われた。

そのあと直ぐに羽田から飛行機に乗ってニューヨークに向かった。

飛行機の中で泣いた。

静岡生まれなので。

一週間でビザが切れるから学校に入れ、と言われジャズダンスの学校に席を置いた。

決められた動きをやる能力はゼロ。

いつも最後列で小さくなっていた。

でも、今考えるとカラダを動かすのが好きだったのかもしれない。

例えば、茶道を習った。
年配の女の先生だったが、先生は、茶室を自由に使わせてくれて、毎日、朝6時に行って夕方まで自主稽古した。

膝に膿が溜まってしまった。

作法や体の動きに強い興味を感じていたのだと思う。

ニューヨークでは、ソヒア・デルザに太極拳を7.8年、日本では、陽名時先生に3,4年教えて頂いたと思う。

また、空手も少しやった。

長々とこれらの肉体訓練について書いた理由は、
マイケル ・チェーホフの俳優としての肉体訓練を理解するのに大きく役立ったからです。

ZEN


2019年8月17日土曜日

台詞について


我々アクターズ・スタジオの俳優たちは、誰ひとり、セリフから演技に入る俳優はいない。

誰もが、セリフを言わしめるものを探し求める。


日本のほとんどの俳優は、セリフをそれらしくまくし立てる。

人生では、相手に伝えたいことがあるから、それを言葉にする。

人間は考えたことを言葉にして伝える。

多くの俳優は記憶したセリフをあたかも考えたように記憶を話す。


人は相手に何かを伝えたいから言葉にする。

多くの俳優は、伝えたいことがないのに、あたかも、伝えたいかのように、セリフを口にする。

先ず、俳優として、必要なことは、その役の人間を理解し共感すること。

それを台本に書かれた言葉ではなくまずは、自分の言葉で言ってみる。

役が言いたいことを、相手役に伝えてあげよう。


セリフのみならず、演技についての問題を言葉で説明するのは、とても困難を感じる。

俳優は認識と共に成長すると言われる。

俳優を志すのだったら、スタニスラフスキーの本を読むなり、アカデミー賞をもらった俳優たちの演技を繰り返し観て欲しいと思っている。

ZEN


質問に答えて

ゼン先生
おはようございます!
ゼン先生にまたお聞きしたい事があります。

ゼン先生にとって一流とはどんな人と捉えていますでしょうか?

ゼン先生自身もちろんそうですが、俳優だけではなく職人やスポーツ選手など様々な分野の一流の人々を見てきているゼン先生だからこそお聞きしたいとおもいます。

ここ最近、自分がこの先の未来どういう道へ進みたいのか、やりたい仕事が多く、考える日々が続いています。

演技をこのまま学び演技の仕事もしたいですし、みゆき先生がアクターズスタジオのような所を日本に作りたいという思いを実現する為に力になれるような仕事もしたいですし、サッカーの指導者として子供だけではなく大人まで指導する仕事もしたいですし、あげればきりがありません。

ですが、どんな仕事をするにしても自分が一流の仕事をしたいと常々考えています。
ゼン先生にお答え頂けたらと思います。

宜しくお願い致します。


dear W

あなたの質問には、前回同様、随分悩まされました。

あらゆる問題の答えは、その人の胸にインプットされていると言われますので、自分の胸に聞いて下さい。

有名、無名に関わらず、真や善、美や愛をひたすら貫いた人たち。

僕の友人、杖をついた85歳の女性もそのひとりです。

彼女に追いつくには、2度ほど生まれ変わらないと追いつけないと思っています。

ZEN




俳優の言葉の訓練について



俳優の言葉の訓練は、一切感情抜きで、出来るだけ速く、出来るだけ、明確に話す訓練をする事です。

機械的な訓練です。


出来れば2人以上でやったら効果的です。


少しでも間違ったら即、次の人にいれかえる。

そして、又次の人へと。機関銃を撃つように一語一語明確に、連続的に。


この訓練をモノにすれば、実戦でどのような感情が湧き上がって来ても言葉の歯切れの良さを失うことはありません。


下記の早口言葉のための例題「外郎売」は、

文章になっているので特に相手を入れての言葉の訓練に適切です。

是非やってみて下さい。

ZEN


拙者(せっしゃ)親方と申すは、お立ち会いの中に御存知(ごぞんじ)のお方も御座(ござ)りましょうが、 御江戸を発(た)って二十里上方(にじゅうりかみがた)、 相州小田原一色町(そうしゅうおだわらいっしきまち)をお過ぎなされて、 青物町(あおものちょう)を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門(らんかんばしとらやとうえもん)、 只今(ただいま)は剃髪(ていはつ)致して、円斎(えんさい)となのりまする。
元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、 お手に入れまする此(こ)の薬は、 昔(むかし)ちんの国の唐人(とうじん)、 外郎という人、我が朝(ちょう)へ来たり、 帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、
この薬を深く籠(こ)め置き、用(もち)ゆる時は一粒ずつ、 冠(かんむり・かむり)のすき間より取り出(いだ)す。
依(よ)ってその名を帝より、 とうちんこうと賜(たまわ)る。 即(すなわ・すなは)ち文字には、 「頂き、透く、香い(いただき、すく、におい)」と書いて 「とうちんこう」と申す。

短期合宿生Wへ

毎日、エクササイズに取り組み、レポートを書いている生徒Wへ





dear W
エクササイズに真剣に取り組んでいる姿勢は素晴らしいと思っています。

今週の課題は、腰を徹底して前後左右、円形に動かして、汚い言葉否定的な言葉を吐き出してみる。

怒り、憎しみ、嫉妬心、セクシャルな欲望等々、言葉を整えないでダーティーな言葉を使って酔いつぶれたように吐き出す。

Wは責任感が強い。それは長所です。

今回は、体のどこかにしがみついている様々な感情を無責任に吐き出してみる。

否定的な感情を酔っ払ったように、ブチまけてみる。

俳優にとって非常に大切な訓練だと確信しています。

5分、10分で、OK。

一週間続けてみて下さい。

ZEN

一輪の美しい花


現在の宇宙が誕生したのが、150億年前だと言われる。

そのビッグバンから現在までを一年とすると、人類が発生したのは、一年365日大晦日の5,6秒前だと言われる。

地球という奇跡の星に命を与えられて、人それぞれどんな生き方をしたらいいのだろう?


時々、ワイフと意見のぶっつかり合いをするが、貴重であり、又無意味かもしれない。


この、奇跡の地球に、戦争、飢餓、自然災害、病、民族の争い、汚染、貧富の差、事故等々あらるる問題が山積している。




この得体の知れない地球に一輪の奇跡の美しい花が咲いている。

人は其れを愛と呼ぶ。


みんなで、その花を大切にしよう。

愛こそが真実で、すべての物語は幻想となる。

愛の花を咲かせよう!!

ZEN

俳優の訓練は非常に難しい


他の芸術分野と違って確固たる訓練システムが確立されていない。

(スタニスラフスキー、ストラスバーグの偉大な努力によって、かなりの成果を上げているが)

音楽家の表現手段は、調律された楽器であり、画家は白紙と絵の具である。

俳優の表現手段は、日常の生活で使っているこの体と精神と思考と感情である。

実生活では人間は、あるがままに自分を表現しない。
嘘をつく。
心にもない事を言ったり、感じてもいないのに、感じたふりをする。

人間という実生活で、種々雑多なものを詰め込んだ生身の人間という楽器で戯曲を演奏することになる。

俳優の最初の訓練は、心も、体も、白紙にすることだ。

其れをリラックスという。

子供のあの純粋さ、時間差のない表現力、感受性を求めて。

「俳優訓練は、子どもにかえる」

訓練だと言われる。


ZEN








ゼン先生に出会えて

ありがとうございます。

拗ねて、いじけて、捻くれてた自分に
気づかせて頂いて

その自分と
向き合い、認め、受け入れる術を
教えて頂き
時間をかけて
少しづつ手放し、今は随分と
素直になれたように思ってます。

いつも気にかけていただいた
本当に嬉しく、有り難く、
幸せなことだと思っています。

心より愛と感謝を込めて


ps.
ZEN先生の生徒であること
ZEN先生に師事出来たこと
人生の宝です。
ありがとうございます。

K,N

画像に含まれている可能性があるもの:2人、、スマイル、サングラス、クローズアップ

俳優訓練の第一歩~リラックス~


リラックスとは、子供になる訓練

俳優の訓練の一番大切な事、最初に手を付けるべきことはなんだろう?

その人らしさを取り戻すことだ。

自分らしさを露わにしたのは、いつのことだったろう?

子供の頃、3,4歳の無邪気さ故に感じた事が瞬時に表れる 。

泣いたり、笑ったり、怒ったり。

子供と犬が出てくると、名優でも一歩引き下がると言われる。

俳優の先ず、第1の訓練は 、スタジオで(できたら一人になり)、子供になって、床に転がり、大暴れして、大声で感じるがままに泣いたり、怒ったり、笑ったりしてみよう。

どんな感情もすべて吐き出してみよう。

人生で溜め込んだ感情を、筋肉をほぐし、身体をメチャメチャに動かして、泣いたり、笑ったり、叫んだり、大暴れして。

俳優として喜怒哀楽、どんな感情も、あるがままに、表せる能力を手に入れよう。

「俳優訓練とは 、子供になる訓練だ」
と言われる。


ZEN



セリフについて

人生と同じく、セリフを言わしめるものを創れ!
...
セリフを読むと俳優になったと思う人が多い。

多くの人がセリフを読むと俳優になった気分なるのかもしれない。

中学校でも卒業すれば、チェーホフでも、シェイクスピアでもセリフを暗記し 、其れらしく演じることができる。

そんなことで俳優にはなれない。

書かれたセリフは、体験を言葉と言う記号を使って表されたものに過ぎない。

日本のほとんどの俳優が其れらしく思いついたように相手の質問にせりふを言う。

実生活では考えたことを口にする。

たとえば、
「昨日の夜なにをたべた?」
と聞かれたとする。

実生活では考えて、思い出して
「ファミレスでハンバーガーを食べた。」
と答える。

日本の殆どの俳優は考えないで、記憶したセリフを如何にも考えたふりをして答える。

「セリフは覚えたら忘れろ」
と言われる。


相手のセリフによって考えて話せと。

「Illusion of first time」
という言葉がある。


「リハーサルはなかった。今初めて耳にした。」

この感覚なしで、近年、アカデミー賞をとった俳優はいない。


多くの指導者や、俳優たちは、この事を理解していない。

アクターズ・スタジオでは、セリフから入る俳優は一人としていない。

セリフを言わしめるものを掴むのが、俳優の仕事だ。

特に、日本のプロだと言われる俳優たちに言いたい。

あなたは相手のセリフに対して、
記憶で答えているのか?
考えて答えているのか? 

 
自分の胸に聞いてみたらいい。


誠実に胸に聞いて考えてみるといい 。

ZEN




これからの俳優の使命について

最近テレビで AIの番組を観て深く考えさせられた。

あらゆる分野において、ロボットが、人間の職場に入り込み解雇者が急激に増えている。

ロボットに仕事をさせた方が正確で、短時間で、安上がりなのだ。

一部の人間が、富を独占しない限り地球は楽園となる。

政府は全てをガラス張りにして管理して、公共施設、災害対策費用をロボットで賄う。
一般市民には、ロボットが稼いでくれたお金を、衣食住が足るだけのお金を無償で渡す。
人間は働かなくていい。地球に楽園がやって来る。

こう書くと人間は怠惰になり、何もしなくなり、働かなくなるだろうと考える人がいるかもしれないが、書籍『神との対話』にも書いてある通り人間は働くことが好きだ。

好きな事をやって社会貢献できる。

発想、発明、デザイン、ゴミを拾い、花を植え、街や村を美しくする。

全てをガラス張りにして経営者、管理者の給料の最高水準を、良識あるリーダー達が決め、この進化した地球に楽園をもたらす。

これを達成するのは非常に困難かもしれないが、人間は可能性を与えられている。高度の機械文明が戦争を、飢餓を終結させる力を持っていると信じている。

長々と将来の展望を書いたが、このような時代が来たとして俳優芸術は生き残れるだろうか?

ロボットは、感情を持てない。
相手を愛することはできないし、ましてや、子供を産むこともできない。

安易なエンターテイメントだったら、ロボット観ていた方がよっぽど楽しい。

しかし、人々は、人間の魂の深い感動を求めている。

其れは、生きた人間のみが持つ愛であり、同情であり、喜び、感謝、思いやり等々。

悲劇、喜劇を含めて。ロボットには出来ない。


演劇は感情の王国だと言われる。

(凡ゆる芸術分野も同様)

これから俳優を目指す若者達は、人間のみが持つ素晴らしさや、喜び、苦悩、挫折感をも再認識し、真の演技力を駆使して、その喜びを、豊かな感情を、感動を、愛を、演技を通して人々に語り伝えて欲しいと切に願っている。

俳優は人間の持つ深い感情を表現するためには、人間そのものを理解する能力と繊細な表現力を欲求される。

誤魔化しの演技は通用しない。


ZEN


オーディションについて

僕は自分の人生で俳優として、ニューヨークで、3回だけオーディションを受けた経験がある。

1回目は、アクターズ・スタジオ。
才能あふれる多くの人がメンバーになるのには5,6年かかるのに、最終試験の3日前にオフィスから強引に最終試験に受けるように言われて、前代未聞、年間千人以上の受験者から、試験に合格して、たった一人僕が選ばれた。

2回目も、誰かに押されてイヤイヤながらオーディションを受けた。

4,5日して、映画だと思うが、演出家と、プロデューサーがやって来て、「実は、ゼンの出るパートはない。ゼンが出演OKなら、3,40分書き足す」と言ってきたが、断った。

3回目は、スタジオの演出家で、アメリカ在住で有名な女性と組んでの主役を申し込んできた。 

しかし、僕は、どうしても教師になりたかった。

演技と言えば、アクターズ スタジオで、ギャングの役で演技した時、ストラスバーグが思わず立ち上がって、「もしここにプロデューサーがいたらゼンは主役だ!」と言われたこともある。

僕が演技力を高めたのは、徹底して五感の記憶(センソリーウォーク)の訓練をマスターしたからだ。


タイムズ スクエアーを歩いていようが、舞台に立とうが、今、僕は自分の部屋に一人でいて観客の視線を完全にカットアウト出来るプライベート・モーメントの訓練や、人生で一度か二度しか味わったことのない強烈な感情をいつでも、どこでも決められた場所と時間に提供できる能力を訓練によって獲得したからだ。

僕は、恩師ストラスバーグを尊敬し、彼と同じく、教師になりたかった。

その為、マニアックに五感の記憶の訓練に打ち込んだ。

現在、この訓練を高いレベルでマスターした者は、ミユキと僕しかいない。

世界の殆どの演出家は俳優の演技を助けられない。
自分で演技力を高めるしか方法はない。


演技術の基本中の基本、五感の記憶の訓練をマスターし、自分自身の努力で俳優として高く飛翔したいと志す若者達に是非出会えることを、心より願っている。



ZEN



役の感情について

俳優訓練を始めるのは、何歳くらいから始めたら良いのだろうか?

ダンサーや楽器演奏者は、5才くらいから始めている。

しかし、俳優は18歳以上から訓練を始めるべきだと言われている。

(それまでに、ダンスや歌やスポーツで体を鍛えておくといい。)

何故なら、18歳になる頃には、人生の殆どの経験をしているからだ。

喜怒哀楽、愛や嫉妬心、挫折感や達成感、喪失感等々。

これらの自分が体験した記憶、感情が演技の材料になるからだ。


役の体験や感情はいくら何処を探しても見つからないし落ちていない。

俳優は自分自身の感情や体験を、決められた場所と時間に役のために使えるようにする。
それが演技訓練といわれる。


役が苦しんでいたら、俳優は自分自身の苦しみの感情を探し当てて役のために使わなければならない。

役にはまり込んで自然発生的に感情が溢れ出すかもしれない。

しかし、明日も同じ感情がやって来る保証はない。

そこで、感情の記憶【メソード アクティング】の訓練が必要となる。


演劇は感情の王国と言われる。

役のために、自分自身の強い感情を決められた場所と時間に引き出す方法をマスターしよう。

ZEN


オートバイについて

僕は50年ほど前のオートバイをもっている。

BMWサイドカーだ。

林道にもって言って一人静かに眺めていると、手創りの美しさが伝わってきて目を離せない。

花火を打ち上げたような華々しい俳優はよく見かけるが、永年コツコツと積み上げてきて燻金のような俳優がいる。

年老いたキャサリン ヘップバーン、ルイ ジューべのような。

ZEN



役に生きる~セリフの言い回しについて~



日々の生活では、人は相手に考えた事、感じたことを伝えたい為に言葉を口にする。

よって、俳優は役を生きる為には、セリフから推し量って役が考えている事、感じていることを体験しなければならない。

我々の演技方法は、
役に何が起きたかを説明するのではなく、
役に起きたことを体験し表現する方法をとる。

体験の芸術と言われる

アメリカの卓越した演出家エリア・カザンは演技とは人間理解だと言っている。

たとえ、自分が演じる役が殺人者であっても、彼の生い立ち、境遇、性格を徹底的に調べ上げ 、深い共感と同情を手に入れる事によって、その人物の生き様を演じることが出来るようになる。

ここに述べた事は特別なことではない。

俳優によって直感的に理解して直感的に表現するか、時間と労力を注ぎ込んで理解にいたるか である。

深い人間理解なしに良い演技は期待できない。

セリフの言い回しをやめて、そのセリフを言わしめるものを探そう。

ZEN

せりふは如何に




講演会の参加者の質問の多くに、台本に書かれたセリフを如何にいうべきか?と言う質問が多い。

あまりにも初歩的な問題でビックリさせられる。

身近に居る人々を観察すればいい。
人は誰でも感じたこと、考えたことを言葉にする。

その辺の畑を耕してるおばーちゃんでも
「今日はいい天気だねー。富士山が綺麗だねー、ありがたいねー」
と考えたこと、感じたことを言葉にする。

アクターズ スタジオのメンバー達は、誰一人セリフの言い回しなど気にしない。

ここでは、暖かく良いお天気であり、美しい富士山の姿であり、健康で長生きして居ることへの感謝である。

俳優の仕事は、役の人間を理解し、役の考えや役の体験を理解して、初めて言葉で表現する事になる。

セリフは覚えて忘れろと言われる。

相手のセリフによって自分のセリフを思い出し投げかける。

人間の生きざまをよく観察したらいい。

相手に投げかける言葉を点と丸で切ったりしない。



文章でこれらのことを説明するのは、非常に難しい。

ZEN

瞬発力の訓練について

3月のワークショップには、実習の時間に予定していた、瞬発力の訓練をやった。

殆どの俳優訓練は、できたかどうかではなく、自分が全力で、それぞれの課題に立ち向かったかどうかが問われる。

俳優は、観客の視線を浴びて、自分自身を曝け出さなければならない。

一瞬の戸惑いがその俳優本来の輝きを失う事になる。


感じたことが、なんの抵抗もなく、あるがままに表現されることが要求される。

人間社会では、その場で感じたこと、考えたことを表現するのに警戒心や思わくの為、常にブレーキがかかる。

人間が相手に伝えたいと思った事柄や、想いに習慣的にブレーキがかかるので、軋んだ表現になり、真意が伝わりにくくなる。


一般に表現力が弱いと言われる。

自分の感情や考えが、伝わりにくいと感じて悩んでいる俳優が多いと思われる。

この問題を解決しようと、試行錯誤して見つけた解決方法が瞬発力の訓練です。


訓練を言葉で説明するのは困難ですが、僕の合図で、爆発的に椅子から立ち上がって、大きな声と共に大の字のポーズをとります。

(ここで大切なことは、何をするかを予見しない、構えない、身体をリラックスさせて、頭を空にしておく。)

よくあるタイプですが、グテグテしていて、いつも不満そう。
俺は関係ないという態度をとる人がいます。

この一瞬の瞬発力のエクササイズで、前向きで力強く、明るく輝き、強い意志を持った人間に変容するのを目の当たりにして驚かされます。

この瞬発力の訓練を、参加者が、自分の真の姿と出逢うため、実践したいと思っています。


ZEN



20年前のゼミ生からのメッセージ

ゼン先生へ

いつも気にかけて頂きありがとうございます。...

今、月に一回、お会いできる機会を作って頂き、心から感謝しています。


ゼミに通い始めた頃の私は自信がなく、警戒心が強く、別に友達なんていらないし、、と虚勢を張って、そのくせ心の奥底では嫌われたくないと不自然な明るさでぐちゃぐちゃでした。

自分の魂と表面が混沌とした状態で、偽りの自分に自分で気づかずSOSを出しまくっていたのだと思います。

『あんたは、あんたのまんまで良い!』


その言葉に救われ、気がついたら泣いていました。


それ程、気付かない内に自己否定していたんですね。

表面的な明るさにメスを入れ、全ての感情にokを出す。


エクササイズやシチュエーションを通して沢山の事に気づきました。

ゼン先生に出会っていなければ、今の幸せはありません。感謝です!


100億でも寄付したいです😁

でも、そんなに持ってないので、クラスに参加します😁


今後ともよろしくお願いします!


愛と、感謝を込めて。


Y.O


我々俳優はエンターティナー


スタニスラフスキーは言っている。

「我々俳優は、まず初めにエンターテーナーだと心すべき」
だと。

特に若い人たちは、若さが売り物。
明るく生き生きと生命力に溢れていて、あなたがやって来ると、場が明るくなるよう努めるべきだと思う。

自分がどう思われるかなんてもってのほか

若さいっぱい、自意識フリーの美しい歩き方、ほほ笑み、人々に対する気配り、思いやり、相手が誰であっても、あなたに会えて嬉しいと言う自己の感情を高め、その感情が、常に相手に伝わるよう鏡に向かって訓練しよう。

鏡に映った自分が、自分を喜ばせるまでに。

自分がどう思われるかなどに関わらないで、人々を喜ばせることに努めよう。

あなたは若さが売り物、明るさ生き生きさが、あなたのキャリアを築いていく。

若々しく自然で美しい態度、隅々まで神経の行き届いた思いやり。

あなたは、
「俳優」
そして
「エンターテーナー」



ZEN