2019年8月17日土曜日

オーディションについて

僕は自分の人生で俳優として、ニューヨークで、3回だけオーディションを受けた経験がある。

1回目は、アクターズ・スタジオ。
才能あふれる多くの人がメンバーになるのには5,6年かかるのに、最終試験の3日前にオフィスから強引に最終試験に受けるように言われて、前代未聞、年間千人以上の受験者から、試験に合格して、たった一人僕が選ばれた。

2回目も、誰かに押されてイヤイヤながらオーディションを受けた。

4,5日して、映画だと思うが、演出家と、プロデューサーがやって来て、「実は、ゼンの出るパートはない。ゼンが出演OKなら、3,40分書き足す」と言ってきたが、断った。

3回目は、スタジオの演出家で、アメリカ在住で有名な女性と組んでの主役を申し込んできた。 

しかし、僕は、どうしても教師になりたかった。

演技と言えば、アクターズ スタジオで、ギャングの役で演技した時、ストラスバーグが思わず立ち上がって、「もしここにプロデューサーがいたらゼンは主役だ!」と言われたこともある。

僕が演技力を高めたのは、徹底して五感の記憶(センソリーウォーク)の訓練をマスターしたからだ。


タイムズ スクエアーを歩いていようが、舞台に立とうが、今、僕は自分の部屋に一人でいて観客の視線を完全にカットアウト出来るプライベート・モーメントの訓練や、人生で一度か二度しか味わったことのない強烈な感情をいつでも、どこでも決められた場所と時間に提供できる能力を訓練によって獲得したからだ。

僕は、恩師ストラスバーグを尊敬し、彼と同じく、教師になりたかった。

その為、マニアックに五感の記憶の訓練に打ち込んだ。

現在、この訓練を高いレベルでマスターした者は、ミユキと僕しかいない。

世界の殆どの演出家は俳優の演技を助けられない。
自分で演技力を高めるしか方法はない。


演技術の基本中の基本、五感の記憶の訓練をマスターし、自分自身の努力で俳優として高く飛翔したいと志す若者達に是非出会えることを、心より願っている。



ZEN