2018年6月22日金曜日

第6回 メソード演技訓練の実際




訓練(身体のリラックス)

五感の記憶の訓練を始めるにあたって、必要不可欠なのはリラックスすることだ。

背もたれのある椅子に座って全身の力を抜き、体重の全てを椅子に預けること。

力を抜くことに集中して、自分の身体が濡れ雑巾になった様に椅子にもたれかかる。

しばらくの間、呼吸を楽にして体の隅々に注意を向けて力を抜くことを心がける。

椅子に腰掛けての姿勢は、
[広げる]
[ずらす]
[緩める]

体を大の字に広げ、身体を左右非対称にだらしなくばらばらにズラし、口をポッカと開け眠りこけたように力を抜く。

暫くその状態を維持する。

Take your time,keep going,Explore it
と言う訓練の鉄則がある。

まず、時間を取ることだ。

優れた俳優は何かが本当に起こるまで、時間をたっぷりと掛けることが出来る。

悪い俳優は結果を求めてせかせかと先を急ぎ動き回る。

優れた俳優は結果を求めない。

何が起こるか見てみようと言う態度をとる。

そして、焦ったり騒いだりしないでたんたんと注意の集中を切らさないで続けていく。

何かが起こったら未知なるものを求めて深く進んでいく。

たっぷりと時間をかけ淡々と続け、広げて行く。

このアプローチが、全ての演技訓練の基本となる。

リラックスの訓練は先ず、身体のどの部分が緊張しているか注意を向ける。

緊張には一時的な緊張と、社会生活で長い間に溜め込んだ緊張がある。
(抑圧された感情)

自分の体の緊張する箇所を見つけたら、その箇所に注意を向けてゆっくりと身体をあらゆる方向に動かしてゆるめていく。

そして、力を抜いてその部分が緩んだかどうかチェックする。

緊張した箇所が緩んでいくと、しばしば感情的な衝動が起こることがある。

感情を感じたら即、声に乗せて外に出し解放させる。

そしてその箇所をリラックスさせることが出来たら、次の緊張する箇所を見つけていく。

出す声は、胸からバイブレーションを入れて(喉から出した声は感情が乗りにくい)
そして、平均的な声(アップエンドダウンの激しい声はセリフが言えない)を出し、
どんな強い感情がやって来てもセリフを言えるようにする。

このリラックスの訓練の目的は、
全ての緊張を体から追い出し、
感情が胸の奥深くから湧き出した感情が身体のどこにも邪魔されないで、
自然のコースを通して眼から流れ出す。

その俳優がどのレベルか、眼を見れば解る。

眼は魂の窓と言われるから。

ZEN


(今回は身体のリラックスについて述べたが、次回は心理的なリラックスについて。)