2018年6月24日日曜日

第7回 メソード演技訓練の実際


 
訓練(精神のリラックス)

前回の身体のリラックスを終えたら、精神を鎮めるためのリラックスに移っていこう。
 
イライラや不安等の心理的な緊張を手放すために、
首から上に注意を向けてゆっくりと緩めていく。

こめかみ、眼、口と顎、首

 
まず、こめかみ。
右のこめかみに注意を向けてみよう。
〈順番は本人の必要に応じて)
 
注意の集中無くしてリラックスは成立しない。
注意の集中とリラックスは、密接に結びついて、
注意の集中が良くなれば、リラックスが深まり、
リラックスが深まれば、より注意の集中が深まる。

注意の集中は、釘を金槌で打ち込むようでは無く、
ネジ釘のようにゆっくり回しながらだんだん深くはいり込んでいく。

注意の集中をスタートさせたら、淡々と続けていき、
何かが起きたら、それにどこまでもついて行ってみよう。
 
こめかみに注意をスタートさせたら、緩め、緩めと促す。

ある時は太陽の光にあたって、又は、温湿布を想像してこめかみが温かになり緩んでいき、広がっていくのを想像してみよう。

こめかみは色々な神経が交差していて仕事に没頭すると疲れやすく、緊張しやすい。

右のこめかみを緩め、広げ、リラックスさせたら、
左のこめかみをリラックスさせてみよう。

そして、両方のこめかみを同時に。
 
ここで注意を促したいのは、舞台で、人前でリラックスしたいからと言って、椅子を持ち出して、リラックスのエクササイズやるわけにいかない。

プロの技術を獲得したかったら、身体の部分の緊張に敏感に気付き、脳でリラックスしろと命令し、身体を動かさずにその部分を瞬時にリラックスさせ得る技術を獲得することだ。


 
次は眼、眼球に移っていこう。

人間は、日々の生活の殆どを眼に頼って生きているので眼はとても疲れやすい。

又、本を読んだり、テレビを見たり等、とくに、眼鏡をかけていたりすると疲労が溜まり緊張する。

体全体をリラックスさせると同時に注意を片方の眼に持って行く。

僕はよく金魚鉢を想像して、陽のあたった暖かな水槽の中を金魚がゆったりと泳いでいるなどと想像してリラックスに努めている。
 
そのようにして反対側の眼も同じようにリラックスさせ、
次に同時に両眼に注意を向けてみる。

 
何回も練習を続けると、緊張に気づくと反射的にリラックスさせられるようになる。
 
スタニスラフスキー曰く。
「困難なものを楽にできるように、楽にできるようになったものを習慣に、習慣を美しいものに」

ZEN
 
(次回は、口周りと顎、そして首のリラックスについて)