2018年10月5日金曜日

フィーリング・リベレーション 感情の開放の実際

 
 
ザ・アクターズ スタジオ正会員  ゼン ・ヒラノ
 

勿論俳優を含めて、多くの人が、
否定的な感情(怒り、憎しみ、嫉妬心、劣等感、羨望、挫折感、羞恥心、猜疑心、不安)等々の感情に悩まされ、
自分を責めたり、他人を恨んだりして、日々の貴重な時間を誰のプラスにもならない重荷を背負って人生を歩み続けているように思われます。

(俳優はこれらの感情を表現することを要求される。)
 
重荷とは、あるがままの自分では愛されないのではないかというという不安です。
 
あるがままの自分らしさで生きていければいい。

不必要にガードを固め鍵をいくつも付け始めるとますます不安になっていきます。

(この世で一番強い人は、無防備な人だと言われるから。)
 
誰もが、自分らしく生きたい!
警戒心からフリーでいたい!
不安でなく愛を持ってこの世を生きていきたい!と願います。

 
人間の行動の動機には、二つしか無いと言われます。

愛に基づくか、不安に基づくかのどちらかだと。

どうして、多くの我々は、愛に基づいて生きていけないのでしょう。
 
それは、幼少期に、主に親から、こうしなさい、ああしなさいと言いつけられ、それに従います。

幼い子供にとって、親の愛を失うことは死に値するからです。

(元生徒のレポートに、彼の体験を通して、子供がいじめで、自殺することは、絶対にあり得ないと言っています。それは親の愛を失なったからだと。次の機会に彼のコメントを発表したいと思っています。)
 
多くの場合、この幼少期に受けた心の傷は、体や心の何処かに住み着いて、其の人の思考、態度、行動に否定的な影響を与え続け、自分らしく生きることを妨げます。

(俳優の創造活動は人生で受けた傷から深みを増すと言われる。)
 
この与えられた人生を自分らしく生きるために、又、俳優が、どんな感情も自由に表現し得る為にフィーリングリベレイション(感情の解放)を、俳優訓練の一部門として、ここ河口湖のスタジオで実施しています。
 
この訓練は意外と簡単ですが、二つの条件を必要とします。

 
一つは、場所。
どんなに大きな声を出そうが、動き回って物音を立てようが、安心して出来る場所。

二つ目は、本人の気づかないうちに本人の押さえ込んだ感情を誘発し、大声を出して外に吐き出させるようにガイドし得る事です。

より身体を緩め、ずらし、広げ、転げ回って永年押さえ込んだ思いを叫び声とともに喚き散らします。

 
このように書くと、大変な修羅場の様な印象を受けると思いますが、本人は泣いたり、笑ったり、怒ったりしたりして、開放感を味わって大喜び。

こちらがストップをかけるまで止めようとする人は一人もいません。
 
最後に、「ああ、面白かった、楽しかった」と叫んで終ることにしています。

忽然と生き生きさ、やさしさ、美しさ等、その人本来の姿が現れます。

その人達を見て、僕は、いつも感動を覚えます。

 
俳優にとって必要不可欠なことは、
フィーリングリベレーションを通して体験したような、自分自身の深い感情を、与えられた役を通して表現出来る能力を獲得することです。

メソード アクティングが『体験の芸術』と言われる所以です。

 
ZEN