2018年1月6日土曜日

若き俳優を目指す若者たちへ


(前回の続き)

しかし、ジュンイチの質問のおかげで、昔のゼミ生やスタッフのことを思い出すチャンスを与えられた。


この場を借りて、勝手気ままに振る舞った僕の、スタッフ達に感謝の気持ちを伝えたい。



まず、伊尾知へ。

10数年ぶりに、東京に帰って来たばかりで、右も左も分からなかった僕のクラスの開講の為に、畳に這いつくばって計画表を書いていたあなたを、今でも思い出す。

ありがとう!


そしてマユミへ。

あなたの才能と努力はゼミ生を刺激し、勇気づけた。

あだ名はブルドック。

一度集中に入ると噛みついて離さないからだ。


そして、シラト。

誰からも信頼され、とかく、感情に流されやすい我々を見守ってゼミの大黒柱的存在だった。


そして、ヤギ。

ある日、巣鴨のビルディングのオーナーが1階をうっかり閉めてしまって、クラスが開けないと思った事があった。

その時、ヤギは近くに置いてあったバンの屋根に飛び乗り、そこから電柱を伝わって4階の窓を開け姿を消し、1階のドアを開けた。

止める暇もなく、アッという間の出来事だった。

当時のゼミの精神の象徴的出来事だった。

又、ヤギの「レフティー」の公演で発揮した演技力は、他を圧倒し、作品を成立させた。


そして、アリス。

アリスには、忘れがたい思い出がある。

マユミと演じた「子供の時間」で、死を決意し、最後に部屋を見回して、静かに出て行くシーンだ。

僕の人生で初めての経験。

「時間が止まった。」

今でも、あの時の不思議な感覚を思い出す。


また、巣鴨のスタジオでは、「フライデー シアター」と名付けて、クラスで見せた二人一組の場面を公開した事がある。

アクターズ・スタジオ・メンバーとしての僕の目からして観ても、次々に出てくる俳優たちの素晴らしさに驚かされたことがある。

教育とはその人の刺激して、自分の持っている素晴らしさを気付かせる事だと思った。


エルビス。

彼の行動力は、スザマシイ。

河口湖への引越しを彼が全てやりおおせた。

毎年、恒例の美ヶ原でのキャンプで、ぼくに内緒で山の中に積み上げ丸太を何十本とあちこちに積み上げ 火をつけ裸で踊った。

これぞ、青春。感動した。

しかし山火事が心配だった。

(今、彼はニューヨークで、二三百人のグループを引き連れてフェスティバルをやっている。)


又、美ヶ原では女性たちが10人ほど、横に一列になり手を繋いで人里離れた河原を「ゼン先生!」と大声でぼくを呼びながら幸せいっぱい歩いていたのを思い出す。


シュウサク。

コミュニティーの一番乗りの一人。

訓練よりも雑用が主で助けてくれた。

先日、やってきて、子供のようにはしゃいでいた。


イッキ、アズマ、トマリ。

長い間、クラスの雑用をひきうてくれたことに感謝している。


ヨシアキ。

東京クラスを10年間も受け、現在教える仕事に専念している。


ヨーコ。

河口湖の小劇場でみゆきの相手役として誠実な演技をしていたのを覚えている。


そして、モリツラ。

応接間の天井を見るたびに、考えられない長い時間をかけて丁寧にペイントしたのを思い出す。

やさしく、ナイーブなマロは、元気かな?


又、マサキ。

河口湖の合宿クラスに10年もいて毎朝5時半に起き、ススムとともにみんなを引っ張っていった。


ススムも

8年間、みんなと寝食を共にし、何百枚もあったDVDにレッテルを貼り整理整頓した。

先日、ススムはアミと赤ん坊を抱えてやって来た。ふたりで幸せそうだった。


ケイコは

長い間、コミュニティーのリーダーとして力を発揮してくれた。

ケイコがコミュニティーを離れる時にプレゼントしてくれたアーミースタイルのチェアーを未だ愛用している。


ヨシノリとアサは、

最近クラウンを二人でやってみたいと言ってきた。

とっても素晴らしいクラウンが誕生すると確信している。

是非実現して欲しいと願っている。


ミノリ。

彼女の中に人間の真の優しさを見ることがある。

自分を信じて進んで欲しい。


そしてツトム。

ゼンゼミのホームページを長時間をかけて一生懸命にこしらえてくれた。

今でもとても気に入っています。


そして、コウキ。

ヤンチャだったが、人一倍行動力に長けていた。

夕鶴のスタジオでの公演のすべてを引き受けて、一人でやり遂げた資金集めにも尽力してくれた。


ユイは

先日やってきて、少し元気がないなと心配したが、送ってきてくれた殺陣の写真を見て、その生命力と美しさに感動した。


そして、アヤコ。

ゼミの事務的な仕事を長年に渡って処理してくれた。

あなたがプレゼントしてくれた、たくさんのカップ。

使うたびにあなたを思い出しています。


アスカ。

未だに影になり、日向になり僕の仕事を支えてくれている。初めてクラスに来た時は、高校生のようだった。


この場を借りて心より感謝の思いを伝えたいと思っている。


最後になるが、

ぼくのワイフ、

平野みゆき。

誰か演技力において自分がトップだと、思うなら、いつでもみゆきを対決させる用意がある。

彼女の演技指導は経験豊富、他の追従を許さない。今、社会の指導者たちの問題解決に乗り出した。

この3年間、毎朝、5時に起きて研究を続けている。

(彼女に感謝していることは、毎日、三度、三度食事をこしらえてくれて、最近特に腕前が上がったことだ。)



当時のゼミを受けた人たちは、今、人生の中間点にいる。過去は存在しない。頭にあるだけだ。


でも、あの青春の時に、ゼミで燃やした情熱は胸の中に燻っている。


今、それぞれの人生で、それぞれの経験を積み重ね、自分の素晴らしさを体験する為に重要な人生の時期、新たな一歩を踏み出そうとする、新たな時期に来ていると思う。


「怖いと思ったら、一歩前にでろ。それがゴーサインだ。」

ストラスバーグ。


最後に、ジュンイチに感謝している。

ジュンイチのこれらの質問がなかったら、此れほどまでにゼミ生達を身近に、思い出すことができなかった。


又、ぼくの教師としての意欲に火をつけた。


今、もう一度、ここ河口湖で合宿クラスを始めたいと考えている。



ZEN