2020年4月1日水曜日

俳優として生きるには



 親友の恵子さんに誘われて河口湖のほとりにある円形劇場にやって来た。

一般の人達が寄り添って楽しく、日常の責任から解放されて、みんなで勝手気ままに歌って楽しい時間を謳歌していた。

いつも芸術を目指して、全神経を張り巡らして映画等、鑑賞しているのだが、この会は誰もそんなことを気にしないで、勝手気ままに子供達も一緒でみんなで楽しむために時間を共有していた。

暫く笑ったり、拍手しながら楽しい時間を過ごしていたが、心の片隅で僕はアートをやりたいのだと強い要求がうごめいていた。



毎日、何時間も優れた演技力をアカデミー賞候補レベルの俳優達を、テレビで凝視する。

今では、その俳優が画面に登場した途端にそのレベル、力量を評価出来るようになった。

人生では一人残らず過去の荷物を背負ってやってくる。


以前、小さな劇場でアル・パチーノが、深い悩みを抱え(あたかも重荷を背負っているという印象を受けた)登場して、相手役に相談するが、解決されず、又、重い荷物を背負ったまま舞台を後にした印象が強く残っている。

俳優の画面に登場するのを見るとき、どんな荷物を背負って登場するかどうかがその俳優の力量評価につながる。

人生では誰でもそれぞれの荷物を背負って登場するからだ。

人生の荷物とは、生活費の問題、健康の問題、人間関係、将来に向けてのプラン、夢、希望、挫折感等々。

あなたの今の状況を考えてみれば解る。

アメリカの僕の尊敬する演出家エリア・カザンは、
「演技とは人間理解だ」
と言っている。


俳優として舞台に登場する時、役のどんな荷物を背負って登場するかだと思う。

どの分野も同じことを要求されると思うのだが、一流になるのは、才能が必要だ。

才能があっても努力が無ければ使い物にならないという。

若い人達でスターを夢見る人達が多い。

スタニスラフスキーは、
「スター性は、天からの贈り物だ」
と言う。

舞台に立ってライトを浴びて初めてわかる。

もし、あなたが、スターを夢見ているのだったら、舞台に上がってライトを浴びてみると観客がざわめくかどうかだ。

しかし、俳優の仕事が喜びであり、役の人生を体験したいと思うなら、スターになるなどの夢は捨てて、自分の人生を演技に費やしたらいい。

ストラスバーグ言っていた。
「99パーセント想像の世界に入り込め!残り1パーセントの意識があれば、舞台から転げ落ちることはない。」



「俳優になりたいという欲求は、想像の世界に生きたいと云う欲求であり、高く飛翔したいという欲求だ」
と、ゴードン・クレイグ は言っている。



99パーセント!を目指そう!


想像の世界に一歩足を踏み入れ、想像の世界を信じ、愛し、命を燃やしてみよう!



NY ザ アクターズ・スタジオ
正会員
ZEN HIRANO