2020年4月9日木曜日

五感の記憶の訓練は想像の世界に生きる架け橋

演技とは信じることだと言われる。

スタニスラフスキー、そしてストラスバーグに受け継がれた、俳優訓練の基本、五感の記憶を親友の三嶋恵子さんの強い意志の協力の申し出を受けて、15課題の全てをビデオ収録し、近々発表することになった。

この五感の記憶の訓練の全ての課題を修得し、デモンストレーションできる者は、世界で僕とミユキ・ヒラノしかいないと思っている。

ストラスバーグの五感の記憶の訓練の全てを週二回の彼の個人のクラスを2年間でマスターした。

彼にもう、来なくていいし、授業料も払わなくて良いと言われた。

しかし、彼の教師としての魅力に引き込まれて、10年間通い続けた。

授業料も払った。

俳優訓練の難しさは、普段の生活で実際に使っているこの肉体と感情が、俳優の演奏する楽器となることである。

役になりきるために、恋心を表せ、嫉妬心をさらけ出せ、劣等感を見せろ、性の要求を露わにしろと言われる。

これらの役の感情など、何処にも落ちていない。

自分自身の体験、自分の感情を使うしかない。

しかし、多くの俳優は、感じたフリをする。

それでは、とても観客を感動させることはできない。

舞台は想像の世界だ。

演技はその想像の世界を信じる事だと言われる。

相手役を恋人だと信じて実際に胸をときめかせる事が出来るだろうか?

俳優は自分の感じたこと、考えたことをあるがままに表現できる能力を獲得するための基礎的訓練が、【センソリーウォーク・五感の記憶】の訓練である。

トップクラスの俳優に自分の秘められた感情をさらけ出せない俳優はいない。

演技訓練とは想像の世界で自分の全てを、役のために自分をさらけ出す訓練だと、想像の世界に生きたいと思う俳優は誰でも認識している。

五感の記憶の訓練は、その架け橋となる大切な訓練だと確信している。




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ZEN HIRANO