2018年12月8日土曜日

抑圧された「感情の解放」について

俳優を志ざす人々へ

ザ、アクターズ・スタジオ
正会員 
ゼン・ヒラノ

最近、30代前半の容姿に恵まれた一女性E、が合宿クラスにやって来た。

2回目である。

普通、感情を曝け出す訓練は、初回の人にはやらないが、僕は、彼女から何らかの必要性を感じて1回目に感情の解放の訓練を誘導した。

彼女は、床にカラダを投げ出し大暴れして、大声で叫び、無意識に溜め込んだ感情を解放して行った。

彼女の訓練に喜んで投げ込む姿勢は、訓練を終わって立ち上がった時の彼女の表情の輝き、屈託のなさに、みゆきも僕も予期以上の成果を見せらて思わず微笑んだ。

彼女、Eは又やって来た。

予期しなかった。
(一回だけの受講だと思ったので、感情の解放を提供したので)
彼女は感情の解放の重要性、喜びを再体験したいと思ったのだろう。

感情の解放の訓練に大きな感銘を受けた為だろう。

彼女の想いを察して再度感情の解放をやることにした。


結果は、満足するものでは無かった。

本人も「前回の方が良かった。」と呟いていた。

(生徒の訓練を受ける時の態度は、他人や、前回の自分と比較すべきではない。今、与えられた課題にモーメント、モーメント瞬間、瞬間に全てを投げかけることが必要。)

この問題の原因を見つけるために、リラックスを再度チェックした。

鏡の前に立って腰を左右、前後、円を描くように指示した。

驚いたことに普通、誰でも出来る簡単な動きに強い抵抗を示し暗い、落ち込んだ表情になった。


人間は腰に重要な感情を溜め込むという事がある。

重要な感情とは、[怒リ、憎しみ、不安、罪の意識、嫉妬、挫折感、恐怖]等々。

大きな悲劇に直面し腰が抜けて泣き崩れ、とめどなく感情が、流れ出すシーンをテレビのドキュメンタリー等で見かけることがある。

(孫の突然の死を目の前にして、腰の力がいっぺんに抜けて地面に崩れ落ち泣き叫ぶ老婆)等。

上記の不必要、かつ、有害な感情を身体に溜め込む事(感情の抑圧)、あなたから活力を奪い、あなたらしさを奪っていく。


僕がオリジナルメンバーと呼んでいる毎月クラスに参加している三人に、クラスを数回受けて用意ができたと確信して、前回、フィーリングリベレイションを実践させたが、各自がそれぞれの明るさ、生き生きさ、自分らしさを全身で露わにしてとても感動した。

その人が、体に溜め込んだ不必要な感情を吐き出して、その人らしく生きていくことの素晴らしさ、大切さをいつも実感させられる。

先の女性Eは、クラスに再度参加したいと言って来たが、それまでに毎日、腰を緩めること、前後左右、円を描いたり、あらゆる方向に笑顔で動かして、腰まわりを緩めること。

効果を期待しないで、無心に腰をリラックスさせてクラスに参加する事が大切だと確信している。

前回、我々が見落としたのは、彼女の腰に溜め込んだ抑圧された強い感情だと思っている。

この女性Eは、人生の一時期に深い否定的な感情を背負い込み、彼女が持つ本来の明るさ、生き生きさ、真のやさしさを表すことを難しくしているのだと思う。

体の中に溜め込んだ否定的な感情を、身体を崩し、腰を揺り動かし、腰を緩め大きな声で外に吐き出す、叫び放出する。

(東京の自宅では大きな声を出せないし、暴れ回れないので、とにかく、腰を大きく動かし、緩めることに専念すればいい。)

E!あなたにとって何も、難しいことはない。

真の自分を取り戻したいと強く望んでいるのだから。

腰を動かし、床に転げまわり、全ての抑圧された感情を大声を出して吐き出すのだ。

泣いたり、笑ったり、叫んだりして。貴方も我々も、気づかなかった本来の自分に出会うことになると確信する。

 (我々の訓練は、何かを身に付ける事ではなく、まず、自分自身を白紙に戻す事。それから描きたいえを、描けばいい。)


恩師ストラスバーグは言った。
「怖いと思ったら、それがGOサインだ!一歩前にでろ」
と。

ZEN