2018年5月29日火曜日

俳優を目指す若者たちへ


演技の訓練方法が、
他の芸術分野(ピアノやバレー)のように確立されていない。

日々、生活で使っているこの生きた肉体を通して、想像された世界を表現しようと云うのだから。

社会で永年にわたって、
泣くな、怒るな、はしゃぐな等、
感じたことをコントロールするように訓練されたので、
感じたことをあるがままに表せなくなっている。

そこで、多くの俳優達は感じたフリをする。

それを紋切型の演技と言う。

そこで俳優訓練の第一歩は、
からだのあらゆる部分、メンタル(首から上)の部分を意識的に緩めて、
あらゆる感情や衝動をあるがままに、声に乗せ表現する事を要求される。

個々のの俳優を実際に調べてみると、
それぞれが、習慣的な緊張を抱えていて、
それを指摘し、ほぐしていくと、
泣いたり、笑ったり、今まで溜め込んだ怒りの感情等をさらけ出すことが常である。


今回、合宿クラスを開いたが、
やってきた生徒が、体のそれぞれの部分を意識的に緩め、
メンタル(首から上)の部分をを緩めるよう導くと、
その生徒本来の姿が現れて驚かされる。

俳優訓練の第一歩は、
リラックスの訓練だとあらためて確信させられる。

先ず、自分の体のどの部分が緊張しているかを見つけ、
(長年、この仕事に携わっているので、その人の前に立つとその生徒のどこに緊張があるか、自然に伝わってくる。)
緊張する箇所を見つけたら、そこに注意を集中して緩まるように動かし
(ゆっくりと大きく)
緩んだかどうか、チェックする。

体を緩めると何かの衝動が起きることが多い。

衝動が起きたら、
それを声にして胸から出す。

胸から出した声は、
感情が伝わり易い。

音量を一定にして、
バイブレーションを入れれば、
台詞に感情をのせる事が出来る。

とにかく、
リラックスすると、
驚くほど、その人の本当の姿が見えてくる。

1日、5分か10分、
リラックスを習慣づける。

リラックスは、注意の集中を高めて、演技訓練の基本中の基本。

是非実行して欲しいと願っている。

(今回の男子生徒も、第一印象は、暗くて頑なな印象を受けたが、リラックスをしてみると、明るく生命力に溢れ、多弁で笑顔、警戒心からフリーになってハンサムな男性になっていた。)


ZEN